本記事は、田脇宗城氏の著作『サラリーマンが30代から「アパート経営」で年収を300万円以上増やす方法』から一部を抜粋、再編集したものです。

建築費がかかる割に、性能は木造とほぼ同じ

木造は建築費が安い。RC造はプレミアム感があり、遮音性が高い。しかし、鉄骨は明確なメリットが実は見当たりません。まずRC造ほどプレミアム感をもってもらえない割には建築費がかかる。にもかかわらず耐震性や断熱性などの建物性能は木造とそれほど変わりません。

 

「木と鉄では鉄の方が強いに決まっている」と思うかもしれません。たしかに同じ太さ・長さの柱を比べたら鉄の方が強度はあるでしょう。しかし、建物の耐震性は全体のバランスで決まります。木には素材自体が軽いというメリットがありますし、計算によって適所に金具などを用いれば、木造も鉄骨も耐震性能に差は生じないのです。

 

「木と鉄では鉄の方が強いに決まっている」と思うかもしれないが…? (画像はイメージです/PIXTA)
「木と鉄では鉄の方が強いに決まっている」と思うかもしれないが…?
(画像はイメージです/PIXTA)

 

また、断熱性に関しては断熱材の質・量によって決まるものなので、構造材の違いはあまり関係ありません。ただし、遮音性に関しては、隙間なく鉄筋コンクリートで囲まれているRC造が有利です。

 

入居者から見ても「中途半端」な鉄骨マンション

これらの建物性能は、建築基準法などの法令によって一定以上のレベルにするよう定められており、その基準は構造によって区別されているわけではないのです。

 

それなのに鉄骨が木造よりも家賃を高めに設定されるのはなぜか。それは建築費が高いから。つまり「木造と同等にはしたくない!」というオーナーの気持ちが家賃に乗っているだけなのです。

 

木造と鉄骨を同条件で比べたら、入居者は鉄骨を選ぶ傾向はあるでしょう。しかしそのような人は、どうせ高い家賃を払うなら、とRC造に流れていきます。鉄骨は中途半端なのです。

 

強いて鉄骨を選ぶ理由を探すなら、木造では法律上の問題などで実現が難しい4階建て以上の建物の場合、建築費がRC造よりも安価になることくらいです。

 

木造は家賃を低く設定でき、入居者となり得る層も厚い

一方で木造は建築費が安いので、金融機関に借りるお金も少なくて済みます。つまり毎月のローン返済額が少ないから、その分家賃も一番安価に設定できる。

 

家賃を安価にできるということは、入居者となるターゲット層は一番厚いということになります。要するにもっとも楽に商売ができるといえます。

 

また、もともと家賃が安価なので、RC造のように大幅な値引きをしなくても空室が埋まりやすいというメリットもあります。

 

RC造なら8万円の家賃を6万4000円の20%引きにすることはあり得ます。しかし、もともと6万5000円の木造は5万8000円にするだけでも十分集客効果があります。20%引きの5万2000円にするケースはほとんどありません。

 

木造アパートの経営は、景気変動のリスクをより低く抑えることができるのです。

 

投資資金を回収するまでの期間は出来る限り短く設定

アパート経営のリスクといえば、投資したお金をどれくらいの期間で回収できるか気になるところです。建物に関しては地震保険や地盤保証など、様々なリスクヘッジがありますが、20年後、30年後のことは誰も分かりません。

 

子どもが2人とも医学部に進学する、または急に大病を患って、「ローンを差し引いた家賃収入だけでは足りない」といったこともあり得るのです。投資したお金の回収は早ければ早いに越したことはないはずです。

 

そこで木造とRC造の投資金額の回収期間を比較してみましょう。分かりやすくするために、土地代は価値が変化しない資産と見なし、考慮しないことにします。また、単純に期間の差を比較するためローンは利用しないことを前提とします。

 

●木造の場合

建築費…5000万円(9戸)

家賃…6万8000円×9戸=61万2000円(1か月の収入)

回収期間…5000万円÷61万2000円=82か月(6年10か月)

 

●RC造の場合

建築費…9000万円(9戸)

家賃…7万5000円×9戸=67万5000円(1か月の収入)

回収期間…9000万円÷67万50000円=133か月(11年1か月)

 

木造の建築費回収期間は6年10か月。RC造の建築費回収期間は11年1か月。およそ4年木造の方が早く回収できます。さらに現実的にはローンを利用しているので、金利分さらに期間の差は開きがあるでしょう。この4年間+αになにが起こるか分かりません。借入金は少ないに越したことはないのです。

 

アパート経営の旨味は、投資した費用を回収した後です。その後の収入は丸々の利益になります。また、早く投資費用を回収できれば、それだけ建物は新しい状態なので、売却も容易になります。

 

このようにRC造は木造より家賃を高く設定できるものの、建築費の増額分までは回収できないケースがほとんどです。

 

木造のメリットはまだあります。解体費用が比較的安価なので、数十年後に建て替える場合でもコストを低く抑えることが可能なのです。

 

解体費用の相場は、木造で坪4万円前後。RC造で8万円前後。60坪の物件なら240万円の差です。この金額は決して無視できないでしょう。

 

以上のことから、自己資金の少ないサラリーマンがアパート経営を始めるなら、選ぶ構造は木造が最善といえるでしょう。

 

「プロ」以外であれば新築を買ったほうが断然有利!?

構造と同時に悩むのが、新築にするか中古にするかについてではないでしょうか。そこでまず、ひとつの事例を紹介します。

 

6年前にあるクライアントが1億3500万円の新築アパートを購入してくれました。それが最近になって景気が上向いてきたということで売りたいという話になり、1億2500万円で売却しました。

 

売買だけでみれば1000万円の損失です。しかし、その間の6年間の家賃収入は合計6000万円で、諸経費やローン金利を差し引いてもプラス3500万円利益が残ったのです。

 

この利益だけでも十分メリットがあったわけですが、そのクライアントは売却で得た1億2500万円を元手に、今までよりも大規模なアパートを購入しました。ここで私が伝えたいのは、築浅物件だったから売却できたということです。仮に皆さんが築6年の物件を購入し、14年間所有したとしましょう。築20年のアパートを誰が買いたいと思うでしょうか。

 

古いので入居者がつきにくい、さらにエアコンや給湯器などの設備はいつ壊れるか分からない。しかも売りたいと思う物件は、メンテナンスが行き届かない状態で汚くなっているものです。そのためリフォーム代もかかるので、ほとんどの人は買いたくないはずです。

 

一部のプロを除き、何千万のローンを組んだ上にこれだけの費用をかけるオーナーがどれだけいるでしょうか。ローンに組み込むことも可能ですが、そこまでしたら毎月の収支が合わないでしょう。

 

もし、それでも中古物件を選ぶとするならば、立地条件はよいもののリフォームをしても価値が上がらないほど傷んでいる物件です。これを土地代だけの費用で買えるなら建て替えを検討できるからです。

 

しかし、建て替えをするなら今住んでいる入居者の退去費用を負担しなければなりませんし、退去するまでの期間も法律で6か月設けなければならないことになっています。その上でゴネられたら素人では対処法が分かりません。プロでないと手におえないはずです。

 

賃貸物件の中古市場は「ババ抜き」状態

賃貸物件の中古市場はババ抜きのようなものです。そもそも経営が順調な物件を手放す人はいません。市場に出ているほとんどの中古物件は、なにかしら欠点があるものです。最後に収支が合わない物件を買った者が負け。

 

ただし、ごく少数ながら中には数十年経ってもあまり価値が下がらない掘り出し物も存在します。しかし、そのような物件は素人には回ってきません。

 

「買います! でもローンが通るかどうか分かりません」という人よりも、「万が一ローンが通らなければ違約金を払います」という人、融資条件なしですぐに買える人、要するにプロ(資金力のある専門業者)にしか話が来ないようになっているのです。

 

素人でも掘り出し物が手に入る時期がありました。バブル崩壊後とリーマンショック後です。物件があふれてプロでも買い切れず、素人にも回ってきたのです。現在巷で出回っているアパート経営成功本の著者は、この時期に物件を手に入れた人が多いようです。

 

そうしたチャンスが今後全くないとは言えませんが、いつくるかもわからないチャンスを待つより、今からできる堅実な物件を探す方が良いでしょう。

 

ですから、サラリーマンがアパートを購入するなら新築物件です。新築物件なら入居者がつきやすく、メンテナンスも楽。さらに突然手放さなければならない事態になった場合や、より大規模な物件を欲しくなった際に売却しやすいからです。もちろん、千載一遇のチャンスが到来した時には、掘り出し物の物件を手に入れる原資にもなります。

 

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    本連載は、2014年11月27日刊行の書籍『サラリーマンが30代から「アパート経営」で年収を300万円以上増やす方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    田脇 宗城

    幻冬舎メディアコンサルティング

    広がる格差、上がらない給与、将来に備えた生命保険や家のローンに子どもの教育費・・・。働けど働けど出費は増える一方なうえに、将来に対するお金の不安も拭えないという30代のサラリーマンは多いでしょう。 年収がプラス30…

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