年金15万円の母…「二世帯住宅で暮らす」と得する驚愕の金額

本記事は、2015年7月30日刊行の書籍『親子で進める二世帯住宅節税』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

二世帯住宅で最もオーソドックスな形とは…

新たに家を建てる、元の家を増築するなど二世帯住宅をつくる形は様々に考えられます。今回からは、二世帯住宅が形作られる4つの典型的なパターンをとりあげて、それぞれに関してどのような注意が必要となるのかを具体的に見ていきましょう。

 

まず、はじめに最もオーソドックスな形として、親が住んでいた家を二世帯住宅に建て替えるパターンからとりあげましょう。私が実際に取り扱った甲家の例をもとに解説します。

 

二世帯住宅にすることで大きなメリットが…。 (画像はイメージです/PIXTA)
二世帯住宅にすることで大きなメリットが…。
(画像はイメージです/PIXTA)

 

甲家では、両親、長男、次男、長女の家族5人で生活していました。その後、子どもは全員独立し、父母2人でしばらく暮らしていましたが、父親が3年前に他界しました。母も70歳と高齢で、相続の心配もあるということで、私のもとにご家族で相談に来られました。お母さんの財産・債務の内訳は、以下のような構成になります。

 

土地 5400万円

建物 300万円

現預金 3000万円

株式等 2000万円

保険金 3000万円(受取人は子ども3人がそれぞれ1000万円ずつ)

債務 0円

合計 1億3700万円

 

建物、土地(面積は180平方メートル)はいずれも母親が100%所有しています。

 

[図表]実例のイメージ図
[図表]実例のイメージ図

 

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親の生活のための必要資金は確保されているか?

相続対策を行ううえでは、親の生活のための必要資金が現預金で確保されているかをまず確認しなければなりません。具体的には、必要資金の試算を以下のような形で行いました。

 

①現役時代の夫婦2人1か月の生活費 35万円

②夫他界後、妻1人の1か月の生活費 ①×50% 17万5000円

③受取年金の月額 15万円

④1か月の生活費の不足分 ②−③ 2万5000円

⑤平均余命(平成25年度における70歳女性の場合) 19.59歳

⑥平均余命までの必要生活費 ④×12か月×⑤ 587万7000円

⑦その他の必要資金 個別に計算 1500万円(旅行や孫へのプレゼント等)

⑧平均余命までの必要資金額 ⑥+⑦ 2087万7000円

 

平均余命までの必要資金は2087万7000円になりましたが、現預金の3000万円で十分に確保されていることになります。

 

親が住んでいた家を建て替えた場合の相続税はいくら?

相続税を試算してみると、現状で、もしお母さんの相続が発生したら下の図表1のように、959万9000円になることがわかりました。1000万円近い納税金額に、相談に来られたみなさんは驚き、もう少し税金を抑えることができないかという要望が出ました。そこで、二世帯住宅を建てて相続税対策をとることを提案しました。

 
[図表1]相続税試算(現状)
[図表1]相続税試算(現状)

 

母親の土地の上に二世帯住宅を建てると、建築のために5000万円が必要となります。そこで、まず母親が株式を売却して2000万円を工面し、長男が残りの3000万円を負担することにしました。1階には母親が居住し、2階には長男一家が居住する形とし、建物完成後に共有登記を行うというプランです。二世帯住宅を建てた結果、相続財産は以下のような形になりました。

 

土地 5400万円

建物 1200万円(建物評価額2000万円×約0.6≒1200万円 固定資産税評価額相当)

現預金 3000万円

株式等 0円(住宅建設資金として売却)

保険金 3000万円

債務 0円

合計 1億2600万円

 

そして相続税の総額は、下の図表2が示すように、198万円になりました。何と、当初想定していた額の5分の1以下に減らすことができたのです。

 

[図表2]相続税試算(対策後)
[図表2]相続税試算(対策後)

 

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住宅を取得しない次男、長女への配慮も忘れずに

このケースでは、住宅を取得しない次男・長女への配慮も必要となります。そのために、保険金を活用した代償分割のプランニングもあわせて行いました。

 

そして実際に相続が発生する時には、現預金3000万円の中から母が必要資金として2087万7000円を使っていることを想定しており、さらには葬儀費用を300万円強見積もりました。その結果の相続財産の総額と相続税は下の図表3のような形になります。

 

[図表3]相続税試算(代償分割プラン)
[図表3]相続税試算(代償分割プラン)

 

生命保険金3000万円を除き、葬儀費用312万3000円を差し引いた相続財産は6600万円であり、子どもたちで平等に3分の1ずつ分ける場合には、本来2200万円ずつの相続となるはずです。

 

しかし、長男は6000万円の土地・建物を相続するので、そのままでは次男と長女よりも相続する財産が圧倒的に多くなってしまいます。直系卑属には法定相続分の2分の1の遺留分が認められているので、次男、長女には1100万円の遺留分を受けとる権利があります(6600万円×1/3[法定相続分]×1/2[遺留分割合]=1100万円)。したがって、2人の遺留分を侵害するおそれもあります。

 

そこで、次男と長女に不満が生じないよう、3000万円の保険金受取人をすべて長男に変更しました。その結果、相続時には代償分割のための資金となる3000万円の生命保険金を長男は受け取ることになります。

 

そして、その受取保険金を1500万円ずつ次男と長女に代償金として渡します。一方、現預金600万円は均等に200万円ずつ相続します。結果として、長男、次男、長女が手にする財産の額は下記のようになります。

 

長男6200万円(土地5400万円/建物600万円/現預金200万円)

次男1700万円(生命保険金1500万円/現預金200万円)

長女1700万円(生命保険金1500万円/現預金200万円)

 

これで遺留分の問題も回避することができます。さらに母親は上記のようなプランで円滑に相続が行われるよう遺言を作成しておきます。

 

なお、母親の平均余命よりも相続が後の場合には、現預金の912万3000円を取り崩すことになります。逆に平均余命よりも相続が前の場合には、残った現預金分だけ次男、長女の相続分が増えることになります。

 

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税理士法人 斎藤会計事務所  所長

税理士。
税理士法人斎藤会計事務所所長。1998年の事務所開業直後から会社設立支援に力を入れ、創業・融資・事業拡大と100社を超える経営計画のサポートを行う。近年は高齢の親を持つ子世代を対象にしたWebサイト「オヤノコト.net」で自らの体験を生かした相続人向けの相続について連載。著書に『独立を考えた時に読む本2002』『独立を考えた時に読む本2002-Ⅱ』(日経BP社)記事執筆、『相続の現場55例』(ダイヤモンド社)など。相続税対策セミナーも多数開催。

著者紹介

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本連載は、2015年7月30日刊行の書籍『親子で進める二世帯住宅節税』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

親子で進める二世帯住宅節税

親子で進める二世帯住宅節税

斎藤 英一

幻冬舎メディアコンサルティング

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