対立から一転「子どもには…」元夫の言い分は?
<合意成立のポイント>
1 ピアノレッスン費用の反映の有無
子がピアノの演奏に熱心に取り組んでいて、費用もある程度かかっていました。本ケースにおいて、ピアノを続ける費用が、将来、より高くなると予想されたので、これを養育費に反映させるかどうかが問題となりました。
夫(父)は、妻と対立していたため、ピアノに関する費用を養育費に反映させることを拒否していました。しかし、子がピアノ演奏の練習を継続すること自体は望んでいました。そこで、代理人同士の交渉が始まると、比較的早期に養育費に反映させることを受け入れました。次に、どのように反映させるか(養育費を計算するか)が交渉の中心となりました。
2 将来のピアノに関する出費の推定(特定)
両者とも、極力現時点で養育費の金額を定めて、その後の対立が生じることを避けたいと考えていました。そこで、現時点で分かる範囲で将来の支出の想定について試算を出し合いました。最初はそれぞれの試算内容が大きく違っていました。特に、将来ピアノを買い換える時期や購入するピアノの金額が大きく違っていました。
最終的には、ピアノの買い替え費用(購入費)は、高校生になった時の支出予想額を若干大きくすることで、買い替え費用そのものとして加算することは避けることになりました。
また、夫と妻とで年収に違いがあったのですが、妻側がピアノ関連費用は経済力で按分ではなく折半することを受け入れた(譲歩した)ことも夫側が合意することにつながっています。
子の年齢(小学生~高校生)に応じたピアノ関係費用の推定(試算)と養育費への反映の内容(計算)は次のとおりです。
【小学生の間】
50万円/2=25万円
25万円/12≒2.1万円
標準額9万円+ピアノ関係費用の負担2.1万円=11.1万円
【中学生の間】
70万円/2=35万円
35万円/12≒2.9万円
標準額9万円+ピアノ関係費用の加算2.9万円=11.9万円
【高校生の間】
100万円/2=50万円
50万円/12≒4.2万円
標準額11万円+ピアノ関係費用の加算4.2万円=15.2万円