いつの時代もなくならない相続トラブル。「生前しっかり話し合ったから大丈夫」…ではないのです。大切な人の死後、まさかの事態が起きてしまったら? 相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏が解説します。 ※本連載は遺言相続.com掲載の記事を再編集したものです。

「お父さんお金あったよね」で相続しちゃったら…

【相続放棄】

 

相続の効果を確定的に消滅させる相続人の意思表示。「すべて相続しない」ということ。

 

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【単純承認】

相続の効果を確定的に帰属させる相続人の意思表示。「すべて相続する」ということ。

 

【限定承認】

被相続人が残したマイナスの財産を、相続財産の範囲で支払うことを条件にして相続をする意思表示(この際には相続人固有の財産を充当しない)。

 

先ほど「一定の期間」という言葉が出てきました。民法では相続の「放棄」「承認」の意思表示をできる期間を設定しています。

 

●自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月(民法915条1項)

 

相続人となったときの必須項目ですね。さらに、もうひとつ。意思表示をする先はどこでしょうか? 

 

答えは「家庭裁判所」です。覚えておきましょう。

 

■重要な3ヵ月の熟慮期間

 

さて、民法では相続人がその期間内に選択をしなかった場合などは単純承認(=すべて相続する)がされたものとみなします(民法921条)。

 

たとえ期間が残っていたとしても一度選択された相続の「放棄」「承認」の意思表示は撤回できないとされています。マイナスの財産もそのまま受け継ぐことになってしまうわけですね。したがって、この「3ヵ月」という期間は相当に熟慮すべき期間になるんです。

 

もちろん、相続以外の様々な民法上の規定と同様、「詐欺・強迫」などを理由とする取消しは認められていますが、相続事由に関するこの取消権の行使は、期間がほかの事由よりも短く、さらに家庭裁判所に申述しないといけない、とされています。ひとつ間違うと相当に面倒が重なってしまう感じがしますよね。

 

この期間において気をつけなくてはいけないこと。それは「錯誤」(=勘違い)です。単なる動機の錯誤にすぎない場合は、無効にしたい旨の主張が認められないんです。

 

たとえば以下のような事例です。

 

被相続人Aが死亡し、妻と子どもが相続した。妻らはAに相当の資産があるものと考えて相続を承認したところ、後日Aは多額の借金を抱えていたことが判明した。

 

 

被相続人Aが死亡し、妻と長男、次男、長女が相続した。長男は、次男と長女も相続を放棄すると考えて相続放棄の意思表示をしたところ、ふたりとも相続を放棄しなかった。

 

 

被相続人Aが死亡し、長男、長女、次女が相続した。共同で相続するよりも長男1人が単独で相続したほうが相続税が安くなると考えて、長男を除いて長女と次女が相続放棄の意思表示をした。ところが、予想に反してふたりにも多額の相続税が課せられた。

 

なんとも身近でも起こりそうな事例ばかりです。

 

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本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2020年11月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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