いつの時代もなくならない相続トラブル。「生前しっかり話し合ったから大丈夫」…ではないのです。大切な人の死後、まさかの事態が起きてしまったら? 相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏が解説します。今回は「相続放棄」について。 ※本連載は遺言相続.com掲載の記事を再編集したものです。

「知らない間に借金を負わされた!」後を絶たないが…

前提として民法上、相続順位は配偶者→第1順位→第2順位→第3順位と相続資格が移っていきます。しっかりと相続放棄をする旨を後順位の人に伝えないと「知らないうちに借金を負わされた!」というトラブルになりますので注意が必要です。

 

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本題に入ります。相続人全員が相続放棄して、相続人が1人もいなくなってしまうことに、法律上の問題はありません。では被相続人の財産または借金はどうなってしまうのでしょうか。

 

当たり前の話ですが、相続人全員の相続放棄によって相続人がいなくなった瞬間に、被相続人の財産や借金が消えてなくなるわけではありません。いくつかのステップを踏んでから、最終的にはプラスの財産が残れば「国に帰属」することになります。

 

そのステップとは「相続財産管理人の選任(家庭裁判所による選任)→債権申立の公告→相続人捜索の公告→相続人不存在の確定→特別縁故者の確認→国に帰属」という流れです。

 

では、具体的に見ていきましょう。相続人全員が相続放棄した相続財産は、家庭裁判所が選任した相続財産管理人によって管理されます。次に、相続財産管理人は、被相続人に対する債権者などに決められた期間内に申し出をするよう公告を行い(債権申立の公告)、申し出た債権者などに相続財産から弁済を行います。

 

財産が残った場合、相続人捜索の公告を行い、公告期間終了時までに相続人が出てこなければ、相続人不存在が確定となります。その際、特別縁故者(被相続人と長い間同居していた、療養看護に尽力した、などの人)がいれば、財産分与を申し立てることができます。

 

申し立ててきた人について裁判所が特別縁故者と認めたときは、相続財産が特別縁故者に引き継がれます。そして、最終的に残った相続財産があったときは、相続財産管理人が国庫へ帰属させる手続きを行います。こんな長いステップを踏むのです…。

次ページ驚き!相続人不存在で国庫に納められた「財産の総額」

本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2020年11月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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