「日本は危機的状況だ」「日本は財政破綻する」…ニュースメディアで聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? しかし評論家の中野剛志氏は、書籍『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(KKベストセラーズ)にて、このような社会通念を「あり得ない」と真っ向から否定しています。
「ハイパーインフレだ!」実際はここまでしないと…?
② 「ハイパーインフレ」シナリオ
まず、無税国家にして、かつ財政支出を拡大し続ければ、ハイパーインフレが起きるでしょう。
ハイパーインフレを起こすのにも、国家の強い意志が必要になります。
第一次世界大戦後のドイツやムガベ政権下のジンバブエのように、戦争・内戦・革命を引き起こして自国の供給力を徹底的に破壊するという手もあります。そうすれば、極端な供給不足となって、手っ取り早くハイパーインフレが起きるでしょう。
戦争や革命が想定し難いのであれば、地震や台風などの大規模な自然災害が頻発して、その被害により供給力が破壊されても、それを放置することです。自然災害が多い日本であれば、そういう事態は考えられなくもありません。
さらに、日銀は何があっても決して金利を上げてはなりません。うっかり金利を上げたら、ハイパーインフレはすぐに終息してしまうからです。
評論家
1971年、神奈川県生まれ。東京大学教養学部卒業後、通商産業省 現・経済産業省 入省。エディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。同大学院より優等修士号、博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism ”(Nations and Nationalism)で Nations and Nationalism Prize を受賞。主な著書に『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『富国と強兵』(東洋経済新報社)、『小林秀雄の政治学』(文春新書)など。
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連載目からウロコが落ちる奇跡の経済教室~基礎知識編