「報われない」日本を深刻な不況に導いた、灯台下暗し的正体

借金大国ニッポン。新聞やテレビをはじめ、大手メディアはこぞって深刻な財政赤字を指摘しています。「日本はお先真っ暗だ…」と絶望的な気持ちになりますが、実は「大きな勘違い」が潜んでいることをご存じでしょうか? 書籍『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(KKベストセラーズ)にて、評論家の中野剛志氏が指摘しているのは…。

デフレの中心で、インフレ対策を叫ぶ

■政府が悪い

 

平成の時代、特にその前半期には「経済は、市場に任せておけば、うまくいく。政府は小さくていい。余計なことはするな」というイデオロギーが流行しました。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

個人や企業は「経済合理的」、つまり自分の得になるように行動するのだから、個人や企業の行動を自由にしておけばよいではないかというわけです。このイデオロギーは「市場原理主義」あるいは「新自由主義」と呼ばれています。

 

しかし、この新自由主義の発想は、正しいのでしょうか。

 

確かに、多くの企業や個人は、おおむね経済合理的に行動するのでしょう。しかし、ここで問題になるのが、「合成の誤謬」です。つまり、個々の経済合理的な行動の積み重ねが、好ましくない結果をもたらす。この「合成の誤謬」を回避するためには、企業や個人の行動を是正する必要があります。それこそが、政府の役割です。

 

このように言うと、「政府が、企業や個人の行動を正すだと? そんなのは、傲慢なエリートの愚民観ではないか。企業や個人をバカにするな!」と怒り出す人もいるかもしれません。

 

しかし、私が言っているのは、そういう話ではありません。むしろ、逆です。

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    評論家 

    1971年、神奈川県生まれ。東京大学教養学部卒業後、通商産業省 現・経済産業省 入省。エディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。同大学院より優等修士号、博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism ”(Nations and Nationalism)で Nations and Nationalism Prize を受賞。主な著書に『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『富国と強兵』(東洋経済新報社)、『小林秀雄の政治学』(文春新書)など。

    著者紹介

    連載目からウロコが落ちる奇跡の経済教室~基礎知識編

    目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】

    目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】

    中野 剛志

    KKベストセラーズ

    読まれると経済学者・官僚が困る本ナンバー1 経済常識が180度変わる衝撃! 第1部 経済の基礎知識をマスターしよう 1.日本経済が成長しなくなった理由 2.デフレの中心で、インフレ対策を叫ぶ 3.経済政策をビジネ…

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