デフレの中心で、インフレ対策を叫ぶ
■政府が悪い
平成の時代、特にその前半期には「経済は、市場に任せておけば、うまくいく。政府は小さくていい。余計なことはするな」というイデオロギーが流行しました。
個人や企業は「経済合理的」、つまり自分の得になるように行動するのだから、個人や企業の行動を自由にしておけばよいではないかというわけです。このイデオロギーは「市場原理主義」あるいは「新自由主義」と呼ばれています。
しかし、この新自由主義の発想は、正しいのでしょうか。
確かに、多くの企業や個人は、おおむね経済合理的に行動するのでしょう。しかし、ここで問題になるのが、「合成の誤謬」です。つまり、個々の経済合理的な行動の積み重ねが、好ましくない結果をもたらす。この「合成の誤謬」を回避するためには、企業や個人の行動を是正する必要があります。それこそが、政府の役割です。
このように言うと、「政府が、企業や個人の行動を正すだと? そんなのは、傲慢なエリートの愚民観ではないか。企業や個人をバカにするな!」と怒り出す人もいるかもしれません。
しかし、私が言っているのは、そういう話ではありません。むしろ、逆です。