借金大国ニッポン。新聞やテレビをはじめ、大手メディアはこぞって深刻な財政赤字を指摘しています。「日本はお先真っ暗だ…」と絶望的な気持ちになりますが、実は「大きな勘違い」が潜んでいることをご存じでしょうか? 書籍『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(KKベストセラーズ)にて、評論家の中野剛志氏が指摘しているのは…。

日本は財政破綻しません!なぜなら政府の借金は…

■財政赤字の限界

政府の財政赤字は、民間部門の貯蓄によってファイナンスされているのではない。政府の財政赤字は、それと同額の民間部門の貯蓄を生み出す。したがって、民間部門の貯蓄の量が制約となって、財政赤字が拡大できなくなるということは、あり得ない

 

 

驚かれたかもしれません。しかし、これは、貨幣の正しい理解(信用貨幣論※1)から導き出される当然の結論なのです。

 

※1 信用貨幣論・・・貨幣を「負債」の一種とみなす学説。「『ロビンソン・クルーソーが春に野苺を収穫してフライデーに渡す。その代わりに、フライデーは秋に獲った魚をクルーソーに渡すことを約束する』とします。この場合、春の時点では、クルーソーにはフライデーに対する『信用』が生じます。反対にフライデーにはクルーソーに対する『負債』が生じています。そして、秋になって、フライデーがクルーソーに魚を渡した時点で、フライデーの『負債』は消滅します。このように、取引関係は、『信用』と『負債』の関係として理解できるのです」(同著より)

 

ただし、信用貨幣論は、貸出しには資金量の制約はないけれども、「借り手の返済能力という制約はある」としていました。そうでなければ、銀行は借り手の審査もせずに、乱脈融資をやり放題という話になってしまいます。

 

ということは、政府の借金も同じ話になるはずです。つまり、政府の財政赤字は、確かに民間部門の貯蓄量には制約されてはいない。しかし、政府の返済能力の制約はあるのではないか。

 

では、政府の返済能力の限界は、どこにあるのでしょうか?

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

答えを先に言えば、日本政府について言えば、その返済能力には、限界はありません!

 

理由は簡単。借金の返済に必要な通貨(日本で言えば「円」)を発行しているのは、ほかならぬ政府(より厳密には「中央政府」と「中央銀行」)自身だからです。ここで重要なのは、政府は、民間主体とは違う存在だということです。

 

政府は、通貨を発行する能力があるという点において、個人や民間企業とは決定的に異なります。

 

当たり前ですが、個人や民間企業は通貨を発行できないので、収入を得て、そこから借金を返済しなければならない。ところが、通貨を発行できる政府には、その必要はないのです。したがって、自国通貨建ての国債は、返済不能に陥ることはあり得ません。自国通貨建てで国債を発行している政府が、債務不履行になって財政破綻することはないのです。

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目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】

目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】

中野 剛志

KKベストセラーズ

読まれると経済学者・官僚が困る本ナンバー1 経済常識が180度変わる衝撃! 第1部 経済の基礎知識をマスターしよう 1.日本経済が成長しなくなった理由 2.デフレの中心で、インフレ対策を叫ぶ 3.経済政策をビジネ…

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