借金大国ニッポン。大手メディアが仰々しく報じる姿を見た人は多いことでしょう。しかし評論家の中野剛志氏は「自国通貨建ての国債である以上、財政破綻はあり得ない」と指摘しています。書籍『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(KKベストセラーズ)にて、同氏が明かす衝撃の事実。今回は、消費税増税について。

主要先進国中で「最悪」と報じるマスメディアの大誤解

日本の政府債務は、2018年時点において、対GDP比で230%を超えています。これは、主要先進国中で「最悪」だと、財務省も経済学者もマスメディアも言っています。財政赤字が大き過ぎるというわけです。

 

しかし、財政赤字が大き過ぎるならば、インフレが行きすぎているはずでしょう。財政赤字の制約を決めるのは、インフレ率だからです。ところが、日本は、インフレどころか、デフレなのです。

 

デフレだということは、財政赤字は、大き過ぎるのではありません。少な過ぎるのです!

 

インフレ率が財政赤字の制約だということは、デフレである限りは、財政赤字はいくらでも拡大していいということです。デフレの時には、財政赤字に制約はないのです。

 

財政のよし悪しの判断基準は、インフレ率です。財政赤字の額とか、対GDP比の政府債務残高の比率だけでは、財政がよいか悪いかは、判断できません。

 

対GDP比の政府債務残高が230%を超えようが、300%を超えようが、デフレである限り、財政赤字が足りないのであって、自国通貨建てで国債を発行している政府の財政が破綻することはないのです。

 

ちなみに、歴史をひもとくと、イギリスは1760年から1860年の100年間にわたって、累積政府債務は国民総生産の100%を下回ることがなく、19世紀前半には300%にまで達していました。しかし、当時のイギリスは、ハイパーインフレにも財政破綻にも至っていません。それどころか、この時代は、大英帝国がその繁栄を謳歌した時期と重なっているのです注1

 

注1 James Macdonald, A Free Nation Deep in Debt: The Financial Roots of Democracy, Princeton University Press, 2003, pp.354-5

 

■税は、財源確保の手段ではない

 

財政赤字が拡大し過ぎるのが、なぜいけないのか。それは、インフレが行き過ぎるからです。なぜ、無税国家は、あり得ないのか。それは、無税国家にすると、ハイパーインフレになってしまうからです。

 

言い換えると、なぜ税金は必要なのか。それは、インフレが行き過ぎるのを防ぐためだということです。

 

このことは、税金の役割に関する社会通念をひっくり返すことになります。

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目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】

目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】

中野 剛志

KKベストセラーズ

読まれると経済学者・官僚が困る本ナンバー1 経済常識が180度変わる衝撃! 第1部 経済の基礎知識をマスターしよう 1.日本経済が成長しなくなった理由 2.デフレの中心で、インフレ対策を叫ぶ 3.経済政策をビジネ…

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