「日本は危機的状況だ」「日本は財政破綻する」…ニュースメディアで聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? しかし評論家の中野剛志氏は、書籍『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(KKベストセラーズ)にて、このような社会通念を「あり得ない」と真っ向から否定しています。
「日本の財政は危機的状況だ」が愚かすぎるワケ
「日本の財政は危機的状況だ」という社会通念が広く長く定着してしまうと、今さら「財政危機の状況にはない」と言われても、狐につままれたような気がして、納得できない読者もおられるかもしれません。
そこで、理解を深めるために、あえて、思考実験をやってみましょう。どうしたら日本の財政を破綻させることができるかを考えてみるのです。
その前に、あらためて「財政破綻」とは何かを明らかにしておきましょう。というのも、論者によって「財政破綻」の意味が微妙に違うからです。
一般にいわれる「財政破綻」とは、次の三つのいずれかのことを指しているようです。
① 政府が債務不履行に陥ること
② ハイパーインフレになること
③ 金利が急騰すること
さて、このそれぞれを実現するシナリオを考えてみましょう。
評論家
1971年、神奈川県生まれ。東京大学教養学部卒業後、通商産業省 現・経済産業省 入省。エディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。同大学院より優等修士号、博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism ”(Nations and Nationalism)で Nations and Nationalism Prize を受賞。主な著書に『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『富国と強兵』(東洋経済新報社)、『小林秀雄の政治学』(文春新書)など。
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