相続対策として賃貸物件を建てる土地オーナーは多いですが、その建物の名義を親にするか、子どもにするかで大きな違いが生じます。相続税申告を数百件経験した相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の天満亮税理士が、親名義にしたほうがいいケース、子ども名義にしたほうがいいケース、それぞれを解説します。

「子どもの名義」で建てたほうがいいのは?

(2)親が比較的若く、親のほうが子よりも高収入の場合

上記(1)の真逆の場合と考えて頂ければ、わかりやすいと思います。このような場合には、遠い将来の「相続税」の対策のために建築をするのではなく、毎年の「所得税」の対策をしていくことが有益となりそうです。

 

結論は、「子の名義で建てるべき」となります。

 

親名義の敷地の上に子名義の建物が建つこととなるので、「そんなことできるの?」と思われる人もいるかもしれませんが、そのこと自体に特に問題はありません。

 

使用貸借と言って、地主である親から無償(もしくは固定資産税相当額以下)で土地を借りて、子は賃貸建物を建てることになります。

 

先ほどの(1)でも申し上げた通り、賃貸建物の賃料収入は建物の所有者に入ることとなるので、子名義の賃貸建物の賃貸収入は子に入ります。親のほうが子よりも高収入であることを前提としていますので、親子全体で見た時の所得税は低い税率が適用されることになります。さらに、賃貸収入という形で金融資産が増えるのは親ではなく子なので、親の財産(将来の相続税の課税対象)が増えることもありません。

 

ただし、事故や病気などは誰もがいつ起こるか分からない話ですので、当初の見込みよりも親が早く亡くなってしまった場合には、結果的に「相続税」の対策としては逆行することにはなってしまいます。

 

「土地」が約80%(貸家建付地評価)ではなく100%(使用貸借なので自用地評価)で評価されたり、「預貯金」と「家屋」との評価差額を活用できなかったり、といったためです。

 

このように、同じ質問であっても、ご家族の状況などにより正解は変わってきます。また、人の寿命は見込み通りにはいきませんので、将来的に当初の見込みと違う状況になった場合のリスクも受け入れる必要があります。お困りでしたら、まずは個別事情も勘案した上で相談に乗ってくれるような、相続専門の税理士にご相談することをお勧めします。

 

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