認知症と老人性うつ病は、見分けるのが難しい
認知症の診断で医療関係者は、認知障害の発症形式、期間、程度などに焦点を当てて、患者さんや周囲の人から情報を丁寧に収集しなければなりません。家族や周囲の人は、医療スタッフよりも前に認知障害の存在に気がついていることが多いからです。
一般的に、次のような症状がみられる場合には認知症を疑われます。
◆同じことを何度もしたり訊いたり言ったりする
(聴力低下は認知症のリスクとなります。難聴は早めに専門医「補聴器相談医」を受診しましょう)
◆今日の朝食が何だったか思い出せない
◆失なくし物ものや忘れ物が多くなった
◆同じ物を何度も買う
◆家の鍵をかけ忘れて出掛けることがある
◆知らないところに行くと帰ってこられなくなる
◆いつも探しものをしている
◆薬を飲み忘れたり、たくさん余らせたりする
◆財布や通帳などを盗まれたと人を疑う
これらの症状は、加齢による単なるもの忘れかもしれませんが、頻繁にある場合は、認知症の初期症状の可能性があります。認知症による「もの忘れ」と加齢による「もの忘れ」は、明らかに違います。繰り返しますが、例えば、朝食を食べたことは覚えているが何を食べたのか思い出せないのが加齢による「もの忘れ」、朝食を食べたこと自体を忘れているのが認知症による「もの忘れ」です。
◆些細なことで腹が立つようになった。
※これは、性格の変化で認知症とは関係ないようにみえますが、認知症の周辺症状かもしれません
◆テレビ番組の内容が理解できないことが増えた
◆お金の計算ができない(買い物をしてもおつりが計算できない)
◆慣れた道でも迷うことがある
◆服装や身だしなみがどうでもよくなった
◆趣味や好きなテレビ番組に興味がなくなった
◆外出が億劫になった
これらの症状は、単にやる気が減退していることも考えられますし、老人性うつ病の可能性もあります。老人性うつ病の症状は、認知症と混同されることが多いので注意が必要です。また、栄養不足や脱水、難聴、服薬などが影響して起こる軽度の意識障害にも、認知症と間違いやすい症状があります。いずれの場合でも「かかりつけ医」、「認知症サポート医」、「専門医」で早めに診断してもらうことが大切です。
※本記事は連載『改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法』を再構成したものです。
梶川 博
医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長
森 惟明
医学博士
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