新型コロナより怖い、老人抹殺社会の現実が忍び寄ってきている。「老人はもう長生きしない。なぜなら、老人を殺してもおかしくない社会になっているからだ」――。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が明かす、驚愕の事実。超高齢化社会ニッポンが抱える問題点を明らかにする。本連載は小嶋勝利著『もはや老人はいらない!』(ビジネス社)から一部を抜粋、編集したものです。

サービスの差別化「付加価値ホーム」の登場

地価や不動産相場もあることから、価格を下げ続けることにも限界があります。そこでサービスの差別化が始まっていくのです。24時間365日看護師常駐とか理学療法士などのセラピストを配置していて本格的なリハビリの提供が可能とかといった、付加価値ホームが続々と誕生していったのです。

 

小嶋勝利著『もはや老人はいらない』(ビジネス社)
小嶋勝利著『もはや老人はいらない』(ビジネス社)

現在では、首都圏を中心に完全に過当競争に入っています。相変わらず新規参入組が多く、その陰でひっそりと姿を消していくホームも少なくありません。私の肌感覚からすると、ホーム数は増えていると思いますが、企業数は横ばいか、または減っているように感じます。おそらく数年の間に、老人ホームは激減するのではないかと思っています。要介護高齢者ビジネス、つまり介護保険事業がすでに成長分野ではなくなってきているからです。

 

長寿により医療の役割があまりにも広範囲になってしまったために、国は医療機関が疲弊してしまうと考え、医療でなくてもできることを「介護」という新しい分野を作って、役割を分担していこうと考え、介護業界が誕生しました。

 

そして今、介護業界は年間11兆円を超える巨大産業に成長してしまいました。しかし医療費を抑えることができたかと言えば、医療費も拡大し続けています。つまり医療の疲弊を和らげるために介護分野を作ったにもかかわらず、医療の疲弊は相変わらずです。その上、介護という新しい巨大業界が誕生してしまった現状を考えると、計算違いだったのではと私は考えています。

 

分業することで仕事が楽になり、結果、かかる費用も抑えることができるはずだったものが逆に、新しいニーズが続々と誕生し、市場が膨れ上がっていっただけだということなのです。ならば最初に戻し、業界を縮小していったほうが良いに決まっています。分業などせず、病院にすべてを任せておけば良いのではないか?というわけです。

 

俗世間的な言い方をすれば、ワンストップの医療介護の実現です。医療が介護を担えば、間違いなくワンストップ介護は可能です。そのほうが費用は安くすむという計算が成り立つはずです。

 

話は変わりますが、2000年を皮切りに介護業界が大きく発展した理由を皆さんは何だとお思いでしょうか?高齢者が増えたからに決まっているじゃないか?と思っている方が多いと思います。しかし私は違う見方をしています。私の見方は失業者対策で介護業界が拡大したというものです。

 

世の中には、社会にどうしても馴染めない人が一定数存在します。これは事実です。良い悪いではなく、現実です。仕事があるのに自主的に働かない人たちがいます。体のどこも悪くないのに、働かない人たちがいます。さらには真面目に働くこと自体が苦手な人たちもいます。

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