本記事は、書籍『妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策』(幻冬舎MC)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「財産管理委任契約」とは?

「家族信託」「成年後見」と並ぶ第三の制度として「財産管理委任契約」というものがあります。財産の管理に加え、生活する上で必要な「契約を代行する権利」などさまざまな事柄について代理権を与えるものです。

 

管理を依頼する内容や代理権の範囲などは契約によって自由に決めることができます。

 

「判断力に衰えはないものの足腰が弱ってきて出歩くのが困難」といったケースでは、財産管理委任契約を結んだ相手に通帳やキャッシュカードを預けておくと、日常で必要なお金の出し入れや支払いの代行などを任せることができます。

 

財産管理委任契約は税理士の他、行政書士や司法書士、弁護士なども手がけているので、信頼できる専門家と接点のある社長には便利です。九重家のようなケースでは、財産管理委任契約と任意後見契約を同じ相手と結んでおくと、状況の変化に合わせてスムーズなサポートを受けることができるでしょう。

 

元気なうちは財産管理委任契約に基づく支援、認知症が進んできたら任意後見契約に基づくサポートというように、その時々に必要な力添えを得られることがわかっていれば、妻や子供たちの生活についても安心できます。

 

認知症のことを隠していたとしても、こういった制度による支援体制を整え、家族が安心できる状態を作ってから告白すれば、ショックは小さく抑えられるはずです。

 

なお、財産管理委任契約は制度として整備されていない個別の契約に基づくものなので、成年後見制度のような報告義務やチェックはありません。ですからこのサービスを利用する時には、契約を結ぶ相手の信頼度とその業務内容とをある程度しっかり見極めることが大切です。

 

 

佐野 明彦

新月税理士法人 代表社員

 

本連載は、2015年10月27日刊行の書籍『妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

佐野 明彦

幻冬舎メディアコンサルティング

どんな男性も妻や家族に隠し続けていることの一つや二つはあるものです。妻からの理解が得にくいと思って秘密にしている趣味、誰にも存在を教えていない預金口座や現金、借金、あるいは愛人や隠し子、さらには彼らが住んでいる…

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