成年後見制度よりも「家族信託」のほうが使いやすい!?
成年後見も家族信託も判断力が損なわれた人の財産を守り、本人の生活を支援するものです。
ただ、成年後見制度は「ノーマライゼーション(障害者と健常者が区別されることなく暮らせる社会を目指す考え方)」に基づいた制度と考えられます。そのため、財産管理よりも医療や介護といった身上監護の部分に比重が置かれている傾向があります。
財産管理や税務を重視するなら、家族信託の方が柔軟性もあり、使いやすい制度と言えます。
ところが、成年後見制度では「本人のために、もっと利益を得られるよう行動しなくては」ということに重きを置いているわけではありません。生活を送る上で問題のない収入を得られているのであれば、さらなる利益を追求することには不向きと言えるでしょう。
さらに受託者には報告義務がありませんが、法定後見人は年に一度、家庭裁判所に業務内容を報告する必要があります。どういったサポートを行ったのか、家庭裁判所や後見監督人に査定されるのです。大きな費用を必要とするような支援を行う時には、裁判所の承認が必要なのも成年後見人のデメリットです。
何を重視するかは人によりさまざまですが、小回りが利かないのでやはり不便を感じることが多い制度だと言えます。