新型コロナより怖い、老人抹殺社会の現実が忍び寄ってきている。「老人はもう長生きしない。なぜなら、老人を殺してもおかしくない社会になっているからだ」――。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が明かす、驚愕の事実。超高齢化社会ニッポンが抱える問題点を明らかにする。本連載は小嶋勝利著『もはや老人はいらない!』(ビジネス社)から一部を抜粋、編集したものです。

介護報酬を得る業者の「あの手この手」

ここを厳しく問われれば、ケアマネジャーの中には、状態の改善がない介護支援を提案することに躊躇する者も増えてきます。というより、そもそも高齢者介護の世界で状態の改善がどこまで重要なのかを考える必要がありますが……。

 

今では、乱暴な言い方をすれば、ケアマネジャーに対し、「利用者、家族、事業者の自由に介護保険を使わせるな!ケアマネジャーは理由を付けて介護サービスを行使させるな。そのためにケアマネジャーが存在しているのではないか?」ということになっています。そしてその結果、住宅型老人ホームの経営者の思惑が叶えられず、十分に介護保険報酬を獲得することができなければ、事業者は倒産していく以外に方法はありません。

 

このような理屈から現在、多くの住宅型有料老人ホームの経営者は、社員として雇用しているケアマネジャーに対し、「入居者の区分限度額消化率100%のケアプランを作れ!」とハッパをかけています。少し前までは、大声で檄を飛ばして指示を出していましたが、今は少し小声で「社員の使命」という社内ガバナンスの徹底をケアマネジャーに求めています。

 

さらにケアマネジャー1人では区分限度額を100%消化するケアプランを作ることが難しい場合は、介護スタッフ(サービス提供責任者等)らに対し、「なぜ当該入居者にはこのサービスが必要なのか」ということに対する理論武装をさせ、100%の区分限度額を行使できる体制を作っているのです。

 

要は国の制度なので、机上の論が成り立っていれば、その行為は正当化されるという理屈です。行政が運営する制度の盲点と言うか、行政の性質を逆手にとった、うまい対応策ということになります。しかし、そろそろ限界です。そのうち介護保険法の改正という伝家の宝刀の発動で、骨抜きにされることになると思います。

 

小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

 

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