米大統領選 「ブルーウェーブ」による増税は杞憂か?

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米大統領選における第1回目のTV討論会とトランプ米大統領による新型コロナ感染を受けて、マーケットではバイデン氏が大統領選に勝利する見方が強まっているだけでなく、民主党が上院と下院で過半を占める「ブルーウェーブ(青い波)」シナリオも織り込まれつつある。バイデン氏が公約として掲げる増税は、株式市場にとって杞憂に終わるのだろうか?​

「ブルーウェーブ」となればバイデン氏の政策が通りやすくなる可能性

民主党のバイデン氏が大統領選で勝利し、さらに上院と下院でも民主党が過半を占める「ブルーウェーブ」シナリオとなれば、バイデン氏が打ち出す政策案が連邦議会を通過する可能性は高まるだろう。

 

単位:% 期間:2020年3月31日~10月8日 出所:リアルクリアポリティクス、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成
[図表1]2020年米大統領選候補者の支持率推移 単位:%
期間:2020年3月31日~10月8日
出所:リアルクリアポリティクス、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成

 

バイデン氏の政策案で注目されるのが「増税」と「インフラ政策」だ。バイデン氏は連邦法人税の引き上げ(21%→28%)や個人所得税の最高税率の引き上げ(37.0%→39.6%)、富裕層のキャピタルゲイン課税の強化などを公約として掲げており、実現すれば株式市場に対しては「逆風」になることが想定される。その一方で、バイデン氏は4年間で2兆ドルのインフラ政策案(主にクリーンエネルギー投資)も打ち出しており、これは株式市場にとって長期的には「追い風」になる政策だ。

なぜ増税の可能性がある「ブルーウェーブ」シナリオで株は上がるのか?

端的に言って、バイデン氏の政策案は、株式市場にとって「増税」によるマイナス要因と「インフラ政策」によるプラス要因が入り混じった政策だ。しかし、マーケットは「ブルーウェーブ」シナリオの可能性を先取りするかたちで、足元で株式を買い上げている。なぜ、ここにきて「ブルーウェーブ」シナリオが株式市場にとって「買い材料」になったのか?

 

出所:各種報道よりピクテ投信投資顧問作成
[図表2]2020年大統領選候補者の主な政策案 出所:各種報道よりピクテ投信投資顧問作成

 

要因としては3つ挙げられる。1つ目は、共和党と民主党との間でなかなかまとまらない「追加景気対策」に対する期待感だ。ホワイトハウスも連邦議会も民主党が制することになれば、「追加景気対策」もまとまりやすくなる。2つ目は、コロナ禍の景気悪化を懸念して増税を先送りするシナリオだ。大統領就任1年目のバイデン氏が、自ら景気腰折れのきっかけを作ることは無いとする楽観的な見方だ。

 

そして3つ目は、そもそも増税による株式市場への影響は長期的にみれば限定的だということだ。戦後1945年から1968年にかけて連邦法人税率は40.0%から52.8%へ大幅に引き上げられたが、この期間S&P500指数は長期的には右肩上りで推移しており、増税が必ずしも長期的な株安を意味するわけではなかった(注:戦前はこの限りではない)。今回は巨額のインフラ投資も控えていることを考えれば、株式市場の反応にも納得ができる。

 

期間:1945年~1968年 S&P500指数:年次、配当なし、米ドル建て 単位:ポイント 連邦法人税率:年次 単位:% 出所:タックスポリシーセンター、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成
[図表3]S&P500指数と連邦法人税率 期間:1945年~1968年
S&P500指数:年次、配当なし、米ドル建て、単位:ポイント、連邦法人税率:年次
単位:%
出所:タックスポリシーセンター、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米大統領選 「ブルーウェーブ」による増税は杞憂か?』を参照)。

 

(2020年10月9日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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