税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
米大統領選における第1回目のTV討論会とトランプ米大統領による新型コロナ感染を受けて、マーケットではバイデン氏が大統領選に勝利する見方が強まっているだけでなく、民主党が上院と下院で過半を占める「ブルーウェーブ(青い波)」シナリオも織り込まれつつある。バイデン氏が公約として掲げる増税は、株式市場にとって杞憂に終わるのだろうか?
「ブルーウェーブ」となればバイデン氏の政策が通りやすくなる可能性
民主党のバイデン氏が大統領選で勝利し、さらに上院と下院でも民主党が過半を占める「ブルーウェーブ」シナリオとなれば、バイデン氏が打ち出す政策案が連邦議会を通過する可能性は高まるだろう。
バイデン氏の政策案で注目されるのが「増税」と「インフラ政策」だ。バイデン氏は連邦法人税の引き上げ(21%→28%)や個人所得税の最高税率の引き上げ(37.0%→39.6%)、富裕層のキャピタルゲイン課税の強化などを公約として掲げており、実現すれば株式市場に対しては「逆風」になることが想定される。その一方で、バイデン氏は4年間で2兆ドルのインフラ政策案(主にクリーンエネルギー投資)も打ち出しており、これは株式市場にとって長期的には「追い風」になる政策だ。
なぜ増税の可能性がある「ブルーウェーブ」シナリオで株は上がるのか?
端的に言って、バイデン氏の政策案は、株式市場にとって「増税」によるマイナス要因と「インフラ政策」によるプラス要因が入り混じった政策だ。しかし、マーケットは「ブルーウェーブ」シナリオの可能性を先取りするかたちで、足元で株式を買い上げている。なぜ、ここにきて「ブルーウェーブ」シナリオが株式市場にとって「買い材料」になったのか?
要因としては3つ挙げられる。1つ目は、共和党と民主党との間でなかなかまとまらない「追加景気対策」に対する期待感だ。ホワイトハウスも連邦議会も民主党が制することになれば、「追加景気対策」もまとまりやすくなる。2つ目は、コロナ禍の景気悪化を懸念して増税を先送りするシナリオだ。大統領就任1年目のバイデン氏が、自ら景気腰折れのきっかけを作ることは無いとする楽観的な見方だ。
そして3つ目は、そもそも増税による株式市場への影響は長期的にみれば限定的だということだ。戦後1945年から1968年にかけて連邦法人税率は40.0%から52.8%へ大幅に引き上げられたが、この期間S&P500指数は長期的には右肩上りで推移しており、増税が必ずしも長期的な株安を意味するわけではなかった(注:戦前はこの限りではない)。今回は巨額のインフラ投資も控えていることを考えれば、株式市場の反応にも納得ができる。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米大統領選 「ブルーウェーブ」による増税は杞憂か?』を参照)。
(2020年10月9日)
田中 純平
ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト
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