業績見通しの上方修正局面で注目すべき株式は?

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

 

世界の企業業績見通しは回復基調にある。コンセンサス予想EPS(1株当たり利益)は、米国と欧州それぞれで底打ちの兆しが出ており、米・欧それぞれ緩やかな上昇トレンドとなっている。大方の予想通り、新型コロナウイルスのワクチンが来年供給されれば、コンセンサス予想EPSはさらに上方修正される可能性がある。そのような状況で注目すべき株式とは何か?

予想EPSは底打ちから上昇トレンドへ

米国のコンセンサス予想EPS(12ヵ月先)は今年5月に底打ちし、欧州もその約1ヵ月後に底打ちした。その後は、回復ペースに差はあるとはいえ、米・欧ともに緩やかな上昇トレンドが形成されている。コロナショック後の世界の株式市場は実体経済と乖離した株高だと言われ、バリュエーションの拡大だけが相場をけん引する歪な状況が指摘されてきたが、足元ではようやく企業業績の回復に道筋が見えてきた。

 

日次、現地通貨建て、期間:2019年12月末~2020年10月14日 日次、現地通貨建て、期間:2019年12月末~2020年10月14日 2019年12月末=100で指数化 出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国、欧州のコンセンサス予想EPS(12ヵ月先)日次、現地通貨建て、期間:2019年12月末~2020年10月14日
2019年12月末=100で指数化
出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

欧米はこれから7-9月期決算の発表シーズンに突入する。7-9月期の予想EPS(前年同期比)は依然として「減益」が想定されているが、これは概ね織り込み済みであり、投資家の目線はすでに来年の「増益」に向かっている。2021年の四半期別増益率は米・欧ともにプラスに転じており、(今年の減益率が大きいため来年の増益率がより強調される「ベース効果」は否めないものの)新型コロナウイルスのワクチン供給による経済活動の回復をある程度前提としたモデルだと推測される。

 

四半期、現地通貨建て、期間:2020年1-3月期~2021年10-12月期 ※2020年7-9月期(3Q20)以降はコンセンサス予想、2020年10月14日時点 出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米国、欧州のEPS成長率(前年同期比、%) 四半期、現地通貨建て、期間:2020年1-3月期~2021年10-12月期
※2020年7-9月期(3Q20)以降はコンセンサス予想、2020年10月14日時点
出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

業績見通しの上方修正局面で注目すべきは「景気敏感株」

新型コロナワクチンが来年供給されることになれば、消費/企業マインドの改善によって、経済活動はさらに活性化することが想定されるため、コンセンサス予想EPSの上振れ余地が出てくる可能性がある。

 

このような状況で注目すべきは「景気敏感株」だ。文字通り、景気に敏感な(左右されやすい)株式のことを指し、一般消費財サービスや資本財サービス、素材セクターなどに分類される株式が多い。これらの予想EPSは底からリバウンドしているとは言え、情報技術やヘルスケアと違い、まだまだ2019年12月末の水準を下回っている。よって、コロナ禍で競争上優位とされたGAFAMだけでなく、今後は経済活動の更なる再開を見越して景気敏感株が注目されても不思議ではない。

 

新型コロナワクチンの供給が遅れる可能性があることはリスク要因として認識すべきだが、遅かれ早かれ、景気敏感株の本格的な回復を織り込む局面に備えるべきだろう。

 

日次、米ドル建て、期間:2019年12月末~2020年10月14日 MSCI WORLDのセクター別指数を使用。エネルギー、不動産除く 2019年12月末=100で指数化。 出所:MSCI、Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表3]先進国のセクター別コンセンサス予想EPS(12ヵ月先) 日次、米ドル建て、期間:2019年12月末~2020年10月14日
MSCI WORLDのセクター別指数を使用。エネルギー、不動産除く
2019年12月末=100で指数化。
出所:MSCI、Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『業績見通しの上方修正局面で注目すべき株式は?』を参照)。

 

(2020年10月15日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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