白内障を放置すると「深刻な病気」を見逃す場合も
白内障は、患者さん自身が「眼がかすむ」とか「やけにまぶしい」などの違和感を持ったときが眼科を受診するタイミングの目安になります。そういう意味で自覚症状のチェックはとても有効なのですが、反面、気を付けなければならないこともあります。それは「自分の違和感を過小評価しないようにする」ということです。
眼は毎日、当たり前のように使っているものですから、見えないなら見えないなりに、どこか具合が悪ければ悪いなりに、その状態にいつのまにか慣れて違和感を忘れがちです。
例えば成熟白内障で濁りがかなり進行し、日常生活でいろいろ支障をきたしていると思われる患者さんでも「昔と同じ」「不自由を感じたことはない」と言うことがあります。そして、そういう方ほど白内障手術を受けたあとに「世の中はこんなに明るかったんですね」と術前・術後の変化に驚くことが多いのです。
進行した白内障を放置していると、そのぶん、治療に困難が伴う可能性が高くなります。
まず一つには、手術の難易度が高まる場合があります。白内障は進行すると濁りが固まってしまうため、それを切除する作業に通常より時間がかかりやすいのです。
また、硬くなった濁りを取り除くために力をかけすぎると、水晶体を支えているチン小帯などの周辺組織に負担が及ぶことがあります。そのせいで術中・術後に合併症を招きやすくなるのも不安なところです。
もう一つ、白内障を放置していた結果、その間に発症したほかの眼の病気に気づかない危険性があります。例えば緑内障や加齢黄斑変性などは、高齢になるほど発症しやすい眼疾患です。これらは白内障より治療が困難で、発見が遅れると失明に至る恐れも出てきます。
「白内障を治療しに行ったら、別の眼の病気が見つかった」というケースは、実はさほど珍しくありません。「白内障なら、それほど悪化する前に自覚できるだろう」と思われるかもしれませんが、眼は一生使う大切なものです。違和感を覚えたら眼科を受診する、または日頃から定期的に受診するという習慣を持っていただければと思います。
渡邊 敬三
南大阪アイクリニック 院長
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