白内障の症状や進行速度は「種類」によって変化する
前回の記事、『白内障にかかっている人に現れやすい症状…眼科医が平易に解説』では、白内障の患者さんが耳にする機会が多いと考えられる三つの分類法「発症原因」「濁っている場所」「濁りの進行度」について詳述しました。
眼科医はこれらを複合的にとらえて患者さん個々の白内障の状態を診断します。例えば初期の皮質白内障なら、一般的には症状が現れにくいものです。患者さんが日常で不自由を感じていなければ、医師は「しばらく様子を見て、眼がかすむなどの症状が出てきたら治療したほうがいいですね」とか、あるいは「濁りの進行を遅くするために点眼薬を処方しましょう」などとアドバイスします。
ただし糖尿病を患っている人には、定期的な受診を強く推奨します。前述のように、白内障の約90%は加齢性白内障です。早ければ40代から発症しますので、糖尿病だけでなく、さまざまな生活習慣病が現れてきやすい年齢層と重なります。その年代で視力に何か違和感を覚えたときは、早めに眼科を受診してみましょう。
白内障セルフチェック…14の項目を確認
白内障はさまざまな面で「自覚症状」が判断基準の一つになる病気です。例えば、水晶体に濁りがあっても本人が「不自由・不便を感じない」と言うなら手術は時期尚早ですので、もう少し様子を見てから判断してもいいかもしれません。
次の項目をチェックしてみましょう。当てはまった数に応じて白内障である可能性が変わってきます。なお、それぞれの番号に関する解説も記しています。どのような意味がある設問か、セルフチェックのあとに確認してみてください。
①年齢は50歳以上である
②新聞を読んでいると疲れる
③その日の天気や時間帯によって、見えにくさの度合いが違う
④遠くの景色を見たとき、左右の眼で見え方が異なる
⑤日射しが強い場所にいると、異様にまぶしさを感じる
⑥夜間の月や照明の光がにじんで見える
⑦片眼で見たとき一方の眼だけ、あるいは両眼とも二重・三重に見える
⑧テレビのテロップ(字幕)や人の顔がぼやけて見える
⑨老眼鏡が不要になった(近くのものが見えやすくなった)
⑩眼鏡を新調したのに、3年以内に度数が合わなくなった
⑪視力のせいで自動車免許の更新ができなかった
⑫遠くの標識が見えにくくて違和感があるが、眼の痛みや充血は特にない
⑬ステロイド剤を長期にわたり使用している
⑭糖尿病を発症している
以上全14項目中、8項目以上が当てはまった人は、白内障の可能性が極めて高いといえます。5~7項目の人は、まだ日常で不自由を感じるほど進行していないにせよ、白内障を発症している可能性があります。3~4項目の人は白内障ではなく、疲れ眼かもしれません。2項目以下の人はほぼ、白内障の心配はないでしょう。
ただし「大いに当てはまる!」と感じる症状が1項目でもあった場合は、白内障またはほかの眼の病気の可能性も出てきます。白内障が発症していることに気づかず、悪化して手術を終えたあとに「世の中はこんなに明るかったんですね」と驚く人は少なくありません。
できるだけこまめに眼の状態や見え方をチェックし、以前と比べて違いがあると感じたら、一度、眼科を受診してみましょう。