眼がかすむ、視界がぼやける、暗いと見えにくい…
読者の皆さんのなかには、自分が「白内障かもしれない」と疑っている方もいらっしゃるかもしれません。今気になるのは「どのような症状があると白内障の可能性が高いのか?」ということでしょう。ここでは白内障にかかっている人に現れやすい症状を挙げてみましょう。
ご自分が当てはまるかどうか、日頃の生活を振り返りながら読んでください。
白内障に多い症状
★眼がかすむ
★対象(人や物など、見るものすべてを指します)が霧やかすみ、もやなどがかかったように白く見える
★視界がぼやけている
★対象が二重・三重に見える
★夜や暗い部屋で対象が見えにくくなる
★夜の照明や光、日中でも日射しなどを以前より「まぶしい」と感じやすくなった
★右眼と左眼で見え方が異なる
★眼鏡(特に老眼鏡)を作り替えても、すぐに度が合わなくなった
★視力が低下した
★眼が疲れやすい
思い当たる項目があった方は、白内障になっている可能性があります。
ただ、これらの症状が起きるのは白内障に限ったことではありません。ほかの眼の病気によって起きる場合もありますし、あるいは、その日の眼の調子に左右されている場合もあります。老眼(老視)にも似たような症状が多いものです。
白内障は、眼の「水晶体」が濁ってしまう病気
白内障はごく簡単にいうと、眼の「水晶体」という部分が濁ってしまう病気です。下記の図表1は、眼の構造を単純化して描いたイラストです。このなかで水晶体は、眼の表面に近い部分に位置しています。
ところで「物が見える」という現象は、どのようなメカニズムによってもたらされるかご存じでしょうか。
まず、人間は光がないと眼が見えません。光は「角膜」から眼に入ると「瞳孔」を通り、奥にある「水晶体」に達します。
水晶体まで来た光は、さらに奥の「硝子体(しょうしたい)」へ進みます。硝子体は無色透明のゼリー状の組織です。その前面に水晶体があり、後部には「網膜」があります。
網膜は視細胞をはじめとした多くの細胞の集合体で、像の形や色、明暗を感じ取り、視神経を通じて、脳に光刺激を伝達し、情報を伝えます。これが「見える」メカニズムです。
水晶体は、カメラに例えればレンズに当たり、「ピント(焦点)調節部」の機能を担っています。
生まれたての赤ちゃんの水晶体は、見事なほど透き通っています。水晶体は光をよく通しますが、濁ると光は通りにくくなります。まるでレンズが曇りガラスになったような状態といえば分かりやすいでしょうか。この濁りをもたらすのが白内障という病気なのです。
また、濁りは最初から水晶体全体を覆うとは限りません。全体が少しずつ濁ってくる場合もありますし、水晶体の一部にポツン、ポツンと現れ、それが広がったり、あるいは部分的に濃くなったりします。
濁りの場所により、患者さんに現れる主な症状は異なってきます。視界が白くかすんでぼやけることもありますし、ものが二重・三重に見える場合もあります。なお、水晶体のピント調節機能は、水晶体の周辺を囲む「毛様体」という組織と、そこから水晶体と毛様体とをつなげている「チン小帯」という部分が関係します(図表2)。
水晶体は見る対象の距離に応じて厚くなったり、薄くなったりします。近くを見るときはチン小帯が緩んで水晶体を厚い状態にし、遠くを見るときはチン小帯が縮んで水晶体を薄い状態にするというようにして対象にピントを合わせているのですが、加齢によって水晶体、毛様体、チン小帯の伸縮性が弱まり、ピントをスムーズに合わせられなくなった状態が「老眼(老視)」です。