「セルフチェック項目」の内容確認…あなたの症状は?
①白内障で最も多いのは加齢性白内障です。これは50~60代の約半数に症状が認められ、加齢とともに発症のリスクが高まります。
②新聞のように細かい文字を読むと眼が疲れるのは、水晶体のピント調節機能がうまく働かなくなっていると考えられます。働かなくなった理由は加齢による機能低下の可能性が高く、老眼などでも同様の症状が出ますが、水晶体が濁っているせいで機能が低下する場合もあります。
③「晴れた日」「曇りの日」「夜間」それぞれで見え方が違うようなら、水晶体が濁っている可能性があります。
④白内障は片眼ずつ発症のタイミングが違う場合と、両眼がほぼ同時に発症して進行する場合とがあります。片眼が発症したときは、左右の眼で見え方が異なるため、セルフチェックのポイントになります。特に遠くの景色を見たときに、見え方の違いが顕著に現れます。
⑤水晶体が濁ると、眼に入ってきた光がまっすぐに進まなくなります。濁りが生じた場所や濁りの進行度によって症状は異なりますが、まっすぐに届かない光が眼のなかで散乱したり、反射を起こしたりすることがあります。強い日射しや逆光を受けて「以前よりやけにまぶしい」と感じるのはそのせいだと考えられます。
⑥夜に月や照明がにじんで見えるのも、⑤と同じように光の散乱が起きているためです。特に皮質白内障や後嚢下白内障の場合、光の散乱が生じて、にじみを感じやすくなります。
⑦物が二重・三重に重なって見えるのは核白内障に多い症状です。夜、片眼ずつで月を見ると症状の有無が分かりやすいと思います。両眼とも白内障でも、左右で濁りの生じた場所や進行度が異なるはずなので、片眼ずつで試してみましょう。もし両眼で見ても二重・三重になっている場合、白内障以外の眼の病気が原因かもしれません。
⑧「眼がかすむ」「ぼやけて見える」「霧がかかったように見える」というのは皮質白内障に多い症状です。濁りが皮質から核の部分に広がるにつれて、それらの症状がさらに強くなります。
⑨核白内障と考えられます。核の部分の濁りが進行すると、核自体が硬く大きくなり、そのせいで光の屈折率が変化し、一時的に近視のような状態になることがあります。老眼の人は「近くが見えやすい、老眼が良くなったのかな」と勘違いしやすいので注意が必要です。
⑩白内障の症状は水晶体に生じた濁りが原因であるため、眼鏡やコンタクトレンズの度数を変えても根本的には改善できません。度数の調整で多少は現状より見えやすくすることはできるでしょうが、その間にも白内障は進行していきます。3年以内に「また度数が合わなくなった」と感じるようなら白内障の疑いがあります。
⑪「自動車の免許更新へ行ったら視力で引っかかった」と言って来院される方は大勢いらっしゃいます。自覚がないまま視力が落ちていたことにも、注意しなければなりません。白内障は緩やかに進行することが多いため「見えにくくなったな」と感じても、その見え方に慣れ、徐々に視力が低下していることに気づかないまま過ごしがちです。
⑫標識が見えにくくなり、にじみやぼやけなどの違和感があるようなら白内障と考えられます。ただし水晶体には神経や毛細血管が通っていませんから、眼の痛みや充血などの症状が起きることはありません。万が一あれば、ほかの眼の病気の可能性も考えられます。
⑬ステロイド剤を長期にわたり使用すると、白内障の発症リスクが高まるといわれています。喘息の内服薬や呼吸器、アレルギー性皮膚炎の塗り薬など、日常的にステロイド剤を使用している場合は眼科を受診したときに伝えましょう。
⑭糖尿病は糖尿病性白内障を発症しやすいだけでなく、加齢性白内障の場合にその進行を早めることがあります。糖尿病も白内障も、自覚症状がほとんどないまま進行する病気です。治療には血糖コントロールを指導する内科と、白内障の経過観察をする眼科の連携が必要になります。