日本全体の高齢化が進むなか、難航が予想される医師不足の解消。今回は、その実態について改めて見ていきます。*本連載は、2013年8月25日刊行の書籍『なぜ医者は不動産投資に向いているのか?』から一部を抜粋、再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

医師不足と高齢化社会が同時進行する日本

筆者が資産運用などでお付き合いさせていただいている医師たち、中でも勤務医の皆さんは異口同音に「忙しい」とボヤいています。

 

あまりにも過酷な勤務医の実態… (画像はイメージです/PIXTA)
あまりにも過酷な勤務医の実態…
(画像はイメージです/PIXTA)

 

政府は1982年に「2007年頃に医師が過剰になる」として、医師数の抑制を閣議決定しました。ところが、現在も日本の医師数は、OECD(経済協力開発機構)の医師数の平均と比較しても不足している状態が続いています。

 

最近になってようやく医師不足が深刻な問題として捉えられ、医学部の定員削減などは見直されることになりました。そのおかげで、2008年以降は医学部の入学定員が増加に転じています。これによって将来的には医師が充足するという説もありますが、一方で死亡者数は増加傾向にあります。日本全体の高齢化が進むなか、そう簡単に医師不足は解消されないといわれています。

 

さらに、もうひとつ懸念されているのが女性医師の増加です。医学部の入学定員は増加傾向にありますが、同時に医療を志す女性も増えています。それ自体は喜ばしいことなのですが、女性は妊娠・出産となるとある程度の期間、現場を離れなくてはなりません。出産後も、子どもがいれば仕事をセーブしながら働くことができるように、常勤医師ではなく非常勤やアルバイトといった働き方を選ぶ人が増えていくと考えられています。医師が増えているといっても、高齢の医師や女性も含めてのことであり、常勤で働く医師の負担が大きく減るとは考えにくい状況が、今後も続くと予想されているのです。

 

(注)臨床など医療関係に就業している医師、看護師が対象。国の並びは医師の多い順。
表題以外の年次は、スウェーデン、オランダ、日本の医師・看護師、フィンラン
ドの看護師は2010年、デンマークの医師・看護師、ギリシャの看護師は2009年。
出典:OECD Health Data 2013(June 2013)
(注)臨床など医療関係に就業している医師、看護師が対象。国の並びは医師の多い順。 表題以外の年次は、スウェーデン、オランダ、日本の医師・看護師、フィンラン ドの看護師は2010年、デンマークの医師・看護師、ギリシャの看護師は2009年。 出典:OECD Health Data 2013(June 2013)

 

もともと医師の絶対数が不足していることに加えて、特に救急や小児科、産科などの現場は過酷であり、志望する若手医師そのものが減っているといわれています。さらに、最近はインフォームド・コンセントなど、患者の権利と自己決定権を尊重する傾向が高まっています。あらゆる処置や検査のために医師が患者にリスクとベネフィットを説明することが求められることから業務は煩雑になり、また、電子カルテの導入など文書作成にとられる時間も膨大なのだとか。

 

人が足りないうえに、さらに業務量も増えているとなれば、医師ひとりがこなさなくてはならない仕事量は増えるばかりです。いくら残業しても仕事は終わらない、というのが実態のようです。

不労所得の存在が仕事や人生に対する考え方を変える!?

それを裏付けるのが、日本医療労働組合連合会による統計データです。病院に勤務する医師を対象に行った調査で、3割の医師がいわゆる「過労死ライン」といわれる「月80時間以上の時間外労働を行っている」という実態が明らかになったのです。また、多くの医師が宿直からそのまま日勤へと移行する36時間にも及ぶ長時間勤務を月に何度も行っているという結果でした。

医師たちが「忙しい」とボヤくのも納得です。これだけの時間外労働、長時間勤務が当たり前の職場なんて、そう多くはないでしょう。しかし、医師である皆さんは強い責任感をお持ちです。だからこのような環境下でも自分の身を削って頑張ってしまうのでしょう。

 

ところが、これは客観的に見れば過酷な労働環境で搾取を続ける、いわゆるブラック企業も顔負けの労働環境といっても過言ではありません。その証拠に、医師が過酷な労働環境下で悩み抜き、結果として医師を続けていく気力と体力を失って、自らの命を断つケースも増えているといいます。

 

自殺とまではいかなくても、慢性的な長時間労働にともなう疲労は、医師という職業ならではのもうひとつのリスク、医療過誤の原因ともなります。このような過酷な長時間労働が蔓延しているのであれば、たとえ転職したところで同じことなのかもしれません。

 

でもそれは、現在の収入をキープしつつ、さらなる昇給を目指すから避けられない過酷な労働条件なのではないでしょうか? せっかくの高収入を得ているのですから、その収入の一部を積極的に運用して不労所得の獲得を目指してみませんか? ほんの数万円、数十万円でも不労所得があれば、仕事に対する考え方、人生に対する考え方が大きく変わると思います。

 

現在の収入と暮らしに本当に満足しているか?

毎日忙しく、休日はおろか眠る時間すらままならない医師という仕事。収入はあっても、忙しすぎてそれを使う時間もない。とはいえ、独立・開業しようにもそのノウハウがない...。医師の皆さん、本当に現在の収入、暮らしに満足していますか?

 

確かに医師は一般的な会社員よりは高い収入を得ています。とはいえ、年収が1500万円で独身なら、所得税は191万4300円、住民税は113万2400円にのぼり、合わせて300万円以上の税金を納めなくてはなりません。結婚したり子どもが生まれたりすればもう少し減りますが、それでも多額の税金を払うことに変わりはありません。

 

 

一方で、近頃は、患者からたいして尊敬もされず、過労死寸前の激務に耐え、クレームや訴訟のリスクに怯えなくてはなりません。

 

それでも、皆さんには医師を志した時には、何かしら夢や強い想いがあったはずです。そうでなければ、超難関の医師国家試験を突破することは簡単にできることではありません。

 

前述のとおり、医師だからこそ可能な資産運用、形成のノウハウがあります。資産形成といってもさまざまな方法がありますが、私が医師にとってベストだと感じているのは不動産投資です。一攫千金のキャピタルゲインを狙うのではなく、所有している不動産からのインカムゲインによって〝第2の収入〞を得る資産形成です。

 

私がコンサルティングをしている医師の中には、今の給料にプラスして毎月数十万円の家賃収入を得ているという人も少なくありません。これは、大きく儲けようと考えてムリをしたりしなければ、決して不可能ではないことなのです。

 

 

本連載は、2013年8月25日刊行の書籍『なぜ医者は不動産投資に向いているのか?』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

なぜ医者は 不動産投資に向いているのか?

なぜ医者は 不動産投資に向いているのか?

大山 一也

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢化する日本社会で国庫支出の医療費は逼迫し、患者数は増加の一途。特に勤務医などは激務が続く。30代後半の勤務医の平均年収は2000万とも言われるが、税引き後の手取りは900万とも。さらに医療訴訟とは常に背中合わせ、つ…

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