2「次に,本件協議書2についてみると,前記1(3)及び(4)によれば,本件協議書2は,被告Y3が破産手続を行う可能性が生じたことを契機に作成されたものであること,原告は,本件協議書2を作成するより前の平成19年5月以降,被告らに対して寄与分を主張し,その結論が出ていなかったにもかかわらず,原告の寄与分が反映されていないばかりか,被告Y1の相続割合のみが厚くなっている本件協議書2が作成されていることが認められ,原告が,自己の寄与分を主張する権利を留保することなく,その主張が反映されていない本件協議書2の内容を承諾するとは考え難いことも併せてみると,本件協議書2については,飽くまで,被告Y3の破産手続との関係で,被告Y3の相続分を隠匿する目的で作成するという理解の下で作成されたものと認めるのが相当であり,それを超えて,本件協議書2によって,原告と被告らとの間で,亡Aの遺産に関する遺産分割協議が成立したと認めることはできない。」
3「以上のとおり,亡Aの遺産に関する遺産分割については,本件協議書1及び2が作成されてはいるものの,いずれも,その時々の必要に応じて,その目的に沿う限りのものとして作成されたにすぎないと認められ,これらをもって,原告及び被告らの間で,亡Aの遺産の分割について,確定的に協議が調ったものと認めることはできない。」
※本記事は、北村亮典氏監修「相続・離婚法律相談」掲載の記事を転載・再作成したものです。
北村 亮典
こすぎ法律事務所 弁護士
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