「何に満足しましたか?」不毛な質問といえるワケ
■不満やわがままがサービス改善のヒントになる
社会のニーズをヒアリングすることは、事業を立ち上げる時だけでなく、事業を始めたあと、その事業をブラッシュアップしていく時にも重要です。そのためのヒアリングの相手は、できれば見込み客を選ぶのがよいでしょう。
見込み客が現状として見込みにとどまっているのは、「こういう商品なら買いたい」「こんなサービスなら使ってみたい」と思っている部分が解消できていないからです。それがなんなのかを聞き出し、実現できれば、新たな顧客になり、売上アップにつながります。既存の顧客に対しても、ヒアリングをするのが大切です。
既存の顧客は見込み客と比べると商品やサービスを高く評価してくれています。ひとまず現時点では「お金を払ってもよい」「お金を払う価値がある」と感じる程度には満足してくれているはずです。
しかし、本当はもっと期待していることがあるかもしれません。「こうしてくれればもっと使いたい」「この点が改善されればもっと高くてもよい」と思っている可能性もあります。ヒアリングを通じてそのような意見を教えてもらうことで、リピーターが増え、客単価(一人当たりの支払額の平均)は上がりやすくなります。
いずれの場合も、前述したような少人数の会を開いてヒアリングするのがよいと思います。
すでにフリーランスとして活動している人は顧客のリストがあると思いますので、直接的なヒアリングだけでなく、より多くの人を対象にアンケートなどによって意見を聞くこともできます。その場合も、重要なのは顧客が不満に感じていることや、改善してほしいと思っていること、わがままや愚痴に聞こえるような意見を聞くことです。
皆さんも、商品を買ったりセミナーに参加したりすると、アンケートに回答することがあると思います。それらのアンケートの大半は、「役に立ちましたか」「面白かったですか」「どこがよかったですか」など、プラス面の評価だけを聞くようなものです。このようなアンケートは、商品やサービスの強みを確認するという点では多少は役に立ちますが、改善にはつながりません。
満足した点を聞いても本当のニーズは見えてこないのです。本当のニーズは、もしかしたら顧客自身も気づいていないことかもしれず、そのモヤモヤが不満やわがままや愚痴といった形で現れます。そこを聞き出し、解決策を考え、自身の商品やサービスに反映させていくことが大事なのです。