混迷を極めるいまの時代、勝ち残るには様々な能力が必要です。しかし、親はときに子どもへ理想を押し付け、無理をさせてしまいがちです。本記事では、ハーバード大学、東京大学、開成高校のそれぞれで教鞭をとったベテラン教育者で、東京大学名誉教授・北鎌倉女子学園学園長の柳沢幸雄氏が、子育て中の保護者に向け、子どもの失敗を許容し、主体性を尊重する大切さについて解説します。※本連載は、『「頭のいい子」の親がしている60のこと』(PHPエディターズ・グループ)より一部を抜粋・再編集したものです。

2020年3月からの1年間は「特殊な状況」だと心得えて

今の日本の教育環境では、その学年で示された学習指導要領を1年間ですべて終え、生徒は学習指導要領の内容を、しっかりと理解することを望まれます。うまく理解できない場合、「勉強についていけていない」と、保護者も子どもも心配します。

 

もちろん、学習についていけないことは問題なので、多くの方は親が教える、塾に行く、先生に相談するなどして、なんとかついていこうと努力します。

 

ところが、アメリカの場合は、あっけらかんと、「今年度の授業についていけないので留年して、もう1年しっかり勉強します」と決める生徒や保護者もいるのです。「わからないまま進級しても、その先も理解できなくなる。義務教育期間の子どもは学習内容を理解できるように教えてもらえる権利がある」という判断です。

 

そんなことはなかなか日本ではできない、というのは当然ですし、そうしなさいと言っているわけではありません。しかし、2020年の3月からの1年間は、特殊なのです。この1年間に起こることに、あまり思い悩まないほうがいい、というのが私の意見です。

 

日本人は、年齢によるスケジュール感が非常に明確で、「12歳になったら小学校を卒業して中学校に行く」というスケジュールをあえて変える人はほぼいません。けれど、「アクシデントがあれば、留年してもいい、休学してもいい」。あるいは、「理解が浅いまま進級したってしょうがない」。こんなふうに開き直れば、少しラクになるのではないでしょうか。

 

小さい頃、病弱だった私は6歳での小学校の就学を延期して7歳で入学しました。日本では大学を卒業すると、すぐに就職するため、就職活動にもシビアに取り組みます。どうしてもどこかに就職しなければいけないと思うので、ともすると意に添わない就職先でもあきらめる、ということが起こります。

 

しかし、アメリカでは、「大学を卒業したらバックパッカーになって世界中を見てやろう」と、世界に飛び出す若者もいます。「就職は、世界を見てからでいい」と。今の日本では、なかなか勇気が必要な行為かもしれませんが、そのほうが、社会を見据える大人になれるかもしれません。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

無理に就職活動をするのではなく、何か専門的な勉強をしたり、資格を取ったりしてから就職する、というのもひとつのやりかたといえるのです。「こうでなければいけない」という思い込みをはずせば、この激動の時期も、もう少しラクに乗り越えられます。いつもと状況が違う時期には、これまでの自分を振り返ったり、新たな時代のために知恵を絞ったりと、今までできなかったことをする好機です。

 

楽観的に物事を考えることも、時代を乗り切る知恵です。

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「頭のいい子」の親がしている60のこと

「頭のいい子」の親がしている60のこと

柳沢 幸雄

PHPエディターズ・グループ

これからの時代は「自分からの学び」を生み出すことが最大の力になります。 論理的に考える力、問題を解決する能力、世界を見据える力、リーダーシップ、そこから生まれる「生きる力」を身につけましょう。逆境に負けず、ど…

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