今回は、現金を「不動産」に変えて贈与することで、いくら節税できるのかみていきます。 ※本連載は、税理士・岡野雄志氏の著書、『土地評価を見直せば相続税はビックリするほど安くなる』(あさ出版)の中から一部を抜粋し、「広大地評価」「小規模宅地等の特例」の特徴、活用のメリットなどを紹介します。

建物は「固定資産税評価額」をベースに贈与税が決まる

前回の続きです。今回は、現金を建物に変えて贈与した場合の、節税効果を紹介します。

 

たとえば、現金5,000万円をそのまま贈与するのではなく、住居用の建物の建築費用として利用し、建築を終えた建物本体を贈与する場合には、建築に投入した現金5,000万円ではなく、建物に付された固定資産税評価額をベースに贈与税が課税されることになります。

 

[図表1]直系尊属から子に贈与する場合

 

建物自体の固定資産税評価額は、前回ご紹介の通り、鉄筋コンクリート造(RC造)であれば実際の建築費用の70~80%、木造であれば40~50%ほどにまで下がります。

5,000万円の現金を建物にすれば1,240万円節税に!?

ここでは、建物の固定資産税評価額が2,500万円になると仮定しましょう。

 

2,500万円から基礎控除額110万円を差し引いた2,390万円は、下記図表における3,000万円以下に該当しますので、贈与税率は45%、さらに贈与税本体の控除額265万円を差し引いて、計810.5万円の贈与税が課税されます。

 

[図表2]贈与税率表(特例税率)

 

したがいまして、5,000万円を現金で贈与する場合(贈与税額:2,049.5万円)に比べて、現金5,000万円によって建築した建物本体を贈与する場合(贈与税額:810.5万円)は、贈与税額で約1,240万円の節税になることがわかります。

 

[図表3]贈与税額は現金と建物では異なる

[図表4]有効利用するつもりの対処で、かえって損をするケース例

本連載は、2015年12月23日刊行の書籍『土地評価を見直せば相続税はビックリするほど安くなる』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

土地評価を見直せば 相続税はビックリするほど安くなる

土地評価を見直せば 相続税はビックリするほど安くなる

岡野 雄志

あさ出版

相続財産の42%は土地ですが、「広大地評価」「小規模宅地等の特例」を活用することで評価額を大きくダウンさせることが可能です。30以上もの実例をもとに、“地主の立場”で戦うプロ中のプロが、贈与税や相続税をビックリする…

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