ウイスキーの本場といったらどこを思い浮かべるだろうか? イギリス、アメリカ――それだけではない。今、日本のウイスキーの評価はうなぎのぼりで、世界中の賞を総なめにしている。だが、肝心の日本人はその事実を知らない。しかし、それではもったいない――ウイスキー評論家の土屋守氏はそう語る。ここでは、ウイスキーをもっと美味しく嗜むために、日本のウイスキーの歴史や豆知識など、「ジャパニーズウイスキー」の奥深い世界観を紹介する。本連載は、土屋守著書『ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー』(祥伝社)から一部を抜粋・編集したものです。

ジャパニーズウイスキーを語れないのはもったいない

ウイスキーを取り巻く環境は、近年目まぐるしく変化してきています。もしかすると、昔のウイスキーのイメージをそのまま持っている人にとっては、まったく別物になっているかもしれません。特にジャパニーズウイスキーに対する評価は、うなぎのぼりです。世界中の酒類コンペで最高賞を受賞し、今ではオークションの高額落札品の常連となっています。

 

しかし、惜しむらくは、当の日本人が自分の国のウイスキーについて知らないことです。よく海外に留学などに行くと、「あなたの国は、どんな歴史や文化か?」と聞かれて、自分以外のまわりの留学生は自分の国のことをすらすら話すのに日本人だけは話せない、という話を聞きます。

 

同じようなことがウイスキーの世界でも起きているのです。世界には日本のウイスキーのことを知りたがっている人が大勢います。ところが、肝心の日本人が、ウイスキーの教養を持ち合わせていない。現在、新型コロナウイルスの感染拡大でインバウンドは大きく落ち込んでいますが、収束すれば旧に倍する人々が世界中からやってくるでしょう。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

国際化やグローバル化はますます加速していきますが、そのときに必要なのは何か──国際社会を生き抜くビジネスパーソンにとって、私はウイスキーの知識、なかでもジャパニーズウイスキーの知識が武器になると考えています。だからこそ、ジャパニーズウイスキーとはどういうものなのか、基本・歴史・現在・課題といったことをこの連載に凝縮して、一人でも多くの人にお伝えしたいのです。

 

日本のウイスキーは、もうじき誕生から100年を迎えます。これからさらにジャパニーズウイスキーを盛り上げるとともに、日本人にこそジャパニーズウイスキーを伝えて、先人たちの火を守り続けていきたい。そして、世界にもっとジャパニーズウイスキーの素晴らしさを知ってほしい。いつか海外の映画やドラマで、ジャパニーズウイスキーが主人公のキャラクターを決定づけるような存在として登場する──そんな時代がくることを願っています。

 

次ページ日本のウイスキーの歴史にまつわる大きな誤解とは
ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

土屋 守

祥伝社

世界のトップ層は今、ウイスキーを教養として押さえています。翻って日本人の多くは、自国のウイスキーの話さえ満足にできません。世界は日本のウイスキーに熱狂しているのに、です。そこで本書では、「日本人とウイスキー(誰…

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