山崎、白州…国産シングルモルトのTVCMが減った驚きのワケ

ウイスキーの本場といったらどこを思い浮かべるだろうか? イギリス、アメリカ――それだけではない。今、日本のウイスキーの評価はうなぎのぼりで、世界中の賞を総なめにしている。だが、肝心の日本人はその事実を知らない。しかし、それではもったいない――ウイスキー評論家の土屋守氏はそう語る。ここでは、ウイスキーをもっと美味しく嗜むために、日本のウイスキーの歴史や豆知識など、「ジャパニーズウイスキー」の奥深い世界観を紹介する。本連載は、土屋守著書『ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー』(祥伝社)から一部を抜粋・編集したものです。

NEW【最新セミナー】“医師専門”の資産形成コンサルによる
30代勤務医だけのための投資セミナー〜不動産投資〜

オンラインで配信します。詳細はこちら↑スマートウォッチがもらえます。

消費の低迷を食い止めた「角ハイ」と「マッサン」

1983(昭和58)年のピーク以降、ウイスキーの消費量は下降が続きました。シングルモルトが登場してひそかにブームになったり、2001(平成13)年には「シングルカスク余市」と「響21年」が世界的な賞を受賞したりと、ウイスキー業界にとっては吉報もありましたが、消費量を回復するには至りませんでした。

 

その状況が変わったのが2009(平成21)年です。ここから、国内のウイスキー消費量が再び盛り返します。何がきっかけだったかおわかりになりますか? ハイボールの復活です。2008(平成20)年ころから、サントリーは「角瓶」をソーダで割る「角ハイボール」、通称「角ハイ」の広告を大々的に展開しました。

 

「ウイスキーが、お好きでしょ」の名曲とともに、女性店主が営むバーでの人間模様が描かれたこのシリーズは、2020年現在も継続中。初代店主を女優の小雪(こゆき)、二代目を菅野美穂(かんのみほ)、三代目を井川遥(いがわはるか)が演じています。1950年代から1960年代にかけてトリスバーをはじめとするスタンドバーが急増した時期、流行したのがハイボールでした。それが40年以上経って再燃したのです。

 

当時を知らない若い世代にとって、ハイボールは「新しいお酒」かつ「おしゃれなお酒」でした。ソーダで割るのでアルコール度数が下がって飲みやすいところも、飲みやすいお酒を好む若者たちに合っていたのでしょう。一方、かつてさんざんハイボールを飲んだ世代にとっては、「懐かしの酒」であり「思い出の酒」でもあります。角ハイボールはこの二つの層を取り込むことに成功したのです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

現在、居酒屋に行けば、さまざまな銘柄やレシピのハイボールを楽しめます。コンビニやスーパーでは、お酒売り場には「角ハイ」「トリスハイボール」「ブラックニッカハイボール」のほか、スコッチウイスキーの「ホワイトホース」やバーボンウイスキーの「ジンビーム」など海外のウイスキーをベースとしたハイボール缶も並んでいます。ご当地ハイボールも生まれ、まさに百花繚乱(ひゃっかりょうらん)です。

 

ハイボール人気でウイスキーの消費量が少しずつ回復に向かうなか、2014(平成26)年9月から、NHKの朝の連続テレビ小説『マッサン』の放送が始まりました。『マッサン』はニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝とその妻リタをモデルとしたドラマです。竹鶴政孝をモデルとした亀山政春を俳優の玉山鉄二が、リタをモデルとしたエリーをシャーロット・ケイト・フォックスが演じました。

 

連続テレビ小説において、主演を男性俳優が務めるのはかなり珍しいのだそうです。それにもかかわらず、全150回の平均視聴率は21.1%を記録。2013(平成25)年に放送され、社会現象にもなった『あまちゃん』の平均視聴率20.6%を超えました。このドラマのウイスキー考証を務めた身として、また、一ウイスキーファンとして、うれしい限りです。

 

マッサンを見て北海道の余市蒸溜所を訪れた人も多かったようで、2015(平成27)年には年間90万人もの観光客が訪れたとか。サントリーの山崎蒸溜所や白州蒸溜所にも多くの観光客が足を運び、マッサンの放送は、ウイスキーの景気回復の大きな追い風となりました。

ウイスキー文化研究所代表 ウイスキー評論家

1954年、新潟県佐渡生まれ。学習院大学文学部国文学科卒業。フォトジャーナリスト、新潮社『FOCUS』編集部などを経て、1987年に渡英。1988年から4年間、日本語月刊情報誌『ジャーニー』の編集長を務める。取材で行ったスコットランドで初めてスコッチのシングルモルトと出会い、スコッチにのめり込む。
日本初のウイスキー専門誌『The Whisky World』(2005年3月-2016年12月)、『ウイスキー通信』(2001年3月-2016年12月)の編集長として活躍し、現在はその2つを融合させた新雑誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長を務める。
1998年、ハイランド・ディスティラーズ社より「世界のウイスキーライター5人」の一人として選ばれる。主な著書に、『シングルモルトウィスキー大全』(小学館)、『竹鶴政孝とウイスキー』(東京書籍)ほか多数。

著者紹介

連載ウイスキー評論家が語る!日本人が知っておきたいジャパニーズウイスキーの奥深い世界

ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー

土屋 守

祥伝社

世界のトップ層は今、ウイスキーを教養として押さえています。翻って日本人の多くは、自国のウイスキーの話さえ満足にできません。世界は日本のウイスキーに熱狂しているのに、です。そこで本書では、「日本人とウイスキー(誰…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧