「カラフルデブ」――パンチが効いた名称は、脳神経外科専門医とファッションデザイナーという2つの肩書を持つ、Dr まあや氏の通り名だ。髪はピンクや青、黄色や緑のレインボーカラー、そして身を包むファッションもとにかく奇抜。一度見たら絶対に忘れられない容姿から、インターネットで人気に火がついた。以来、『アウト×デラックス』(フジテレビ系)や『人生が変わる深イイ話』(日本テレビ系)などバラエティ番組に引っ張りだこ。ここでは彼女の半生とポジティブ思考の秘訣を紹介する。本連載は、Dr まあや氏の著書『カラフルデブを生きる』(セブン&アイ出版 ※2020年に事業終了)から一部を抜粋した原稿です。

「ごはん食べたい」一心で救急車に乗り込むホームレス

同じ都内でも、地域によってまったく違います。

 

たとえば山の手エリアや世田谷区は、慶應病院と同じような雰囲気です。私が長年外来や当直をしていた神奈川・藤沢市の病院も、裕福な層の患者さんが多数。

 

いっぽうで、地方から出稼ぎに来て家族と離縁してひとりで暮らす人が多いエリアや、生活保護の受給者が多いエリアなんかもあります。

 

病気でもないのに、ごはんが食べられないからと救急車に乗ってくる。ホームレスの人が公園で倒れていて、ボランティアさんが救急車を呼ぶ。そんなこともよくあるんですよ。

 

そういうときは、「また来たの」「お父さん、3日前に来たばかりじゃない」と話すものの、診察を断ることはできません。帰る家がないので、警察に対応してもらいます。このエリアのなかにはそういう人たちを受け入れる病院が何か所かあり、その代わり必ず警察がセットで来る仕組みになっているのです。はじめは衝撃を受けました。

 

これだけ土地柄によって患者さんも違うわけだから、当然、医者は相手に合わせて話すことになります。患者さん自身に病気の現状と今後の医療方針を、しっかり理解してもらうことが理想なので、患者さんの理解度に合わせないといけません。

 

ひとつ話せば10理解してくれる人もいるし、10話しても1もわかってくれない人もいるし、また10話しても100知りたがる人もいる。お年寄りに、細かいことをキチンキチンと話しても、最初の話を忘れてしまって、すべて話し終わったあとに、「で、なんだっけ? なんの病気なの? 治療が必要なの?」なんてことも起こるのです。

 

私は、患者さんになるべく多くの情報を伝えて、その人自身が選択できるようにすることを心がけているつもりです。内服、手術といった治療方法の選択や、その治療を受ける場所の選択。

カラフルデブを生きる

カラフルデブを生きる

Dr まあや

セブン&アイ出版

コンプレックスがあるからこそ、人は成長できる。挫折や劣等感が、たくましく生きていくバネになる。「デブ・ブサイク・ババア」だって、自覚してみたら意外と悪くない。どんなにネガティブ思考でも、目標を定めれば最高に楽し…

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