「カラフルデブ」――パンチが効いた名称は、脳神経外科専門医とファッションデザイナーという2つの肩書を持つ、Dr まあや氏の通り名だ。髪はピンクや青、黄色や緑のレインボーカラー、そして身を包むファッションもとにかく奇抜。一度見たら絶対に忘れられない容姿から、インターネットで人気に火がついた。以来、『アウト×デラックス』(フジテレビ系)や『人生が変わる深イイ話』(日本テレビ系)などバラエティ番組に引っ張りだこ。ここでは彼女の半生とポジティブ思考の秘訣を紹介する。本連載は、Dr まあや氏の著書『カラフルデブを生きる』(セブン&アイ出版 ※2020年に事業終了)から一部を抜粋した原稿です。

 

Dr まあや氏の幼少期は苛酷なものだった。両親の喧嘩が絶えず、家にはいつも母親の怒鳴り声が鳴り響く。そんな矢先、岩手から母方の祖母が上京。3歳ながら家庭への不満が噴出したDr まあや氏は「私を岩手に連れてって」と切実に頼む。そこからDr まあや氏の岩手でのサバイバル生活が始まった。

 

「お金がなくとも幸せ」はありえない

ハッキリ、断言します。

 

お金は、生きていくうえでかなり大事。だってお金がなくても幸せなんて、冷静に考えたらやっぱりありえないし、難しいことですよ。私はいかにお金が大切かを、小さいときから身にしみて感じながら育ってきたんです。

 

祖父のところには、さまざまな人が事業に失敗したりしてお金を借りにきていました。「お金、また借りにくるらしいよ」「この前、ウン百万貸したばっかりだよね。その分も返してないのにどうするんだろう」「またヘンな商売を始めるらしい。いい加減にしたらいいのに」そんな会話を、包み隠さず話す祖父母。

 

そこに大人3~4人がお金を借りにきて、「これで最後にしますから……!」と土下座しているのを見て、「やっぱりお金の問題って大変なんだな。はー、でもやだなあ、こういう姿!」と、幼いながらに思いました。一部の親戚たちも、祖父に頼っていたんです。

 

そんななか、夫婦仲がよくなくて、ダンナと別居していた叔母の姿は、私のいい手本になってくれました。彼女は別居してからも薬剤師として働き、女手ひとつで子ども3人を育てていたんです。

 

女性が「手に職をもつ」ことがいかに大事か。それを知るきっかけになりました。

女性が自立してお金を稼ぐには……医者だ!

祖父母が死んだあと、私はどうなるんだろう。

 

路頭に迷うんじゃないか。

 

でも、両親にだけは絶対頼りたくない。

 

世の中、そんなに甘くないから、これは真剣に人生について考えないといけないんじゃないか?

 

そう思ったんです。医者になるまでは大変だけれど、そこに到達すれば20代の早い段階から地位も確立されるし、それなりにお金も稼げるわけだから、生きていくのはラクだろう。やっぱり医者になるのがいちばんだ、って。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

裕福な祖父の姿を見ていたからよけいに、医者というのは仕事こそ大変だけれど、将来なんとか生きていける仕事だろうと思っていたし、いつ私が土下座する身になるかと考えると、本当におそろしかったんです。

 

でも、それがよかったと今になって思います。自分で仕事をして生きるということは、自立へのパスポート。誰かに寄生して暮らす必要もないわけですよね。

 

たとえば青年実業家や医者といったパートナーをつかまえて結婚するんだ、という女性もいるけれど、それってものすごく不確定で、本当に実現できるのかどうかもわからないそんなことに頼って自分の人生を歩んでいいの? と思ってしまうんですよ。

 

それに祖父母は私に対しては、わりとお金に甘くて、好きなように遣わせてくれていたんですね。たとえば東京に行きたいというと、新幹線のチケットを買ってくれて、ひとりで乗って遊びに行って。だから自分の欲望を満たすには、お金がかかることも自覚していました。

 

それもすべて、祖父母の家で大人のイヤな部分やお金の厳しさ、生きていくつらさ、現実の大変さを目の当たりにする機会があったからです。

 

今の子どもたちはそういう現実を曖昧にされて、キレイなところだけ見せられているのかなとも感じます。

 

でも、現実は現実として受け止めて、そのうえでじゃあどうするか?と考える力を養うこと。それこそが大切なんじゃないかと思うんです。

 

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カラフルデブを生きる

カラフルデブを生きる

Dr まあや

セブン&アイ出版

コンプレックスがあるからこそ、人は成長できる。挫折や劣等感が、たくましく生きていくバネになる。「デブ・ブサイク・ババア」だって、自覚してみたら意外と悪くない。どんなにネガティブ思考でも、目標を定めれば最高に楽し…

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