高い評価額で「買主を騙す」営業を強行していた…
そのマンションの評価をメガバンクに打診したところ、1億円なら貸すとの評価が出ました。通常の買取販売会社であれば、利益は評価額の5~10%に設定します。
そこから逆算して仕入れ価格を算出した結果、マンションの仕入れ価格を7000万円としました。そうするとその登記料は10%で700万円。利益を800万円とするなら、1500万円が余り、それはリフォーム費用などに充てられることになります。
ここで余る金額によって、どれくらいリフォームができるかが決まってくるわけです。
こうしたスキームの要となるのは、金融機関からの評価です。その金額が高いほど、結果的に物件一つあたりの利益も上がりますから、できるだけ高く評価してくれる金融機関があれば、積極的にそれを活用しようと考えます。
たとえばスルガ銀行およびスルガスキームにおいては、新築価格が1億円だった物件が中古で出たとすると、そこに9000万円もの高値を付けることがあります。それは、連載で説明した通り借手の属性により価格を算出していたからです。買取販売業者のなかでも、スルガスキームがはびこっていたのです。
ただ、その物件の評価をメガバンクが行ったとしたら、5000万円しかつかないようなケースが多々ありました。それが何を意味するかといえば、買取販売会社としては、正当な評価額よりもはるかに高い金額で物件を売らねばならないということです。
確かに売れれば大儲けできますが、その分リスクも高くなります。結果的に、買主を騙すような営業を強行し、市場価格より明らかに高値で売りさばく買取販売業者がいくつも出てきました。
買取販売における悪徳業者は、儲けを最大化することしか考えていません。高値で売りさばくためのグレーゾーンの営業に加え、買い付けの時点でも徹底して買いたたきます。相続税の兼ね合いで、どうしてもすぐに手放さねばならないといった売手の事情を逆手に取り、市場価格の半値以下まで買いたたき、形ばかりのリフォームを行って高値で販売するような会社はたくさんありますから、注意が必要です。