私は「己の平凡さ」がコンプレックスだったんです
一方、五感的な人は周囲や自分が置かれている環境に目を配りながら、適切なタイミングを待ちます。このタイプの人には、リスク管理の方法や周囲の状況を見定めるための情報収集の方法などを中心にアドバイスします。
洞察力があり、うまくいくタイミングを待てるのがこのタイプの人の長所ですので、焦らなくて大丈夫、確度を高めればうまくいくといったことも伝えています。このようなアドバイスを活かして、五感的なカメタイプの人は着実に事業を成長させていくのです。
ここでもし最初から自分が、ウサギタイプかカメタイプか分かっていたとしたら、自分の選択に納得しながら進んでいけるはずです。
逆に、自分の性格とは反対の道に進んでしまうと、ストレスがかかります。例えば、ウサギタイプにとってはうまくいくタイミングを待つ時間がストレスになるでしょうし、カメタイプが過度にリスクを受け入れると恐怖心が生まれます。やはり自分に合うやり方やペースを知ることが大事で、そのためには自分自身と向き合い、客観的な視点で自分の性格を把握することが重要なのです。
■過去から見えてくる自分の気質を知る
もっと簡単に自分の性格を知るには、自分の過去や日ごろの行動パターンなどを振り返り、性格を分析してみることです。
例えば僕は、好きなことには熱中しますが、興味がないことにはまったくやる気が起きません。
音楽は好きで、強いこだわりを持っています。楽器の練習は中学生のころからずっと続けていましたし、ミュージシャンを目指すようになってからも自分が理想とする音楽には徹底してこだわりました。そうして何かにハマりさえすれば、自然と人生をかけるくらいの意気込みで取り組めます。
その反面、勉強への興味は高校生の時になくしました。大学受験の日が迫ってもほとんど教科書を開きませんでしたし、最終的には受験もしませんでした。興味のないことは、誰に何を言われてもやる気が起きない性格なのです。
性格というよりは気質に近い話かもしれませんが、僕は物心ついたころから平々凡々としている自分にコンプレックスを感じていました。
例えば、学校の成績はいつも平均以下でした。ずば抜けて悪いわけではなく、中の下から下の上くらいをウロウロしていました。そういう中途半端で凡人的なところが嫌だったのです。
このコンプレックスがある以上、僕は会社員には向かないと感じました。なぜならきっと、会社員になっても優秀な成績は出せず、大金持ちにも貧乏にもならない平凡な一生を送り、それをずっと悔やむことが予想できたからです。
逆に、会社員の人が経験できないような特異な経験を楽しめるミュージシャンやフリーランスのような人生は向いていると思いました。平凡ではない人生を歩んでいるという実感により、それなりの満足感を得られるからです。
もちろん、平凡であることが悪いわけではありません。波風が立ちにくく、安定している人生がよいと考える人がいるのは大いに理解できます。ただ、僕の場合はそうではなかった、ということです。
自分にはどういう人生が理想的で、どういう人生が苦痛か。その点を掘り下げてみることも、自分の性格を知ることにつながり、自分に合う仕事を見つけるヒントになるはずです。