本当は帰れるのにダラダラと会社に残る「残業泥棒」、決められたことしかできない「マニュアル人間」…。日本企業を見渡せばそこら中にいる「非生産的」なビジネスパーソン。彼らは今後世界から必要とされなくなります。本記事では、中国人キャリアウーマンの筆者が、会社にしがみつき続ける「雇われ人根性」から脱却し、自立した働き方をするための具体策を提案します。※本連載は『ながら起業 明日クビになっても大丈夫な働き方』(幻冬舎MC)から一部を抜粋し、改編したものです。

「私の毎月の残業代は本給より高い」と自慢した日本人

日本の会社員は残業する人が多い、というのは中国でも昔からよく知られていました。実際に日本に来て働き始めたとき、定時に帰る人がほとんどいないのを見て、「なるほど」と実感しましたが、驚いたのはその後です。

 

あるとき、当時の同僚社員との雑談の中で、彼は「私の毎月の残業代は本給より高い」と自慢していました。日本人に「残業代で稼ぐ」という意識が根付いているというのは大変な驚きでした。

 

今は大企業を中心に働き方改革を実践するようになり、定時で帰ることが促されるようになってきましたが、仕事を自宅に持ち帰っている人も多いのが現状です。「残業代で稼ぐ」人たちにとっては、記録に残らない残業が増え、一層厳しい時代になったといえます。

 

最近の中国は民間企業が急激に成長し、朝9時から夜9時まで、週6日働く「996」という言葉が生まれるぐらい、激務をこなすビジネスマンが増えています。日本のバブル期までと同じぐらいに激しい労働環境で、心身に不調を来す人も続出しているのです。

 

ただし、それには成果を出せば若くても出世でき、高額の給料をもらえるからという理由があります。中国は転職しながらのキャリアアップは珍しくないので、若いうちにあちこちの企業を渡り歩いて激務をこなしながら経験を積み、資金を貯めてゆくゆくは自分で起業しようと考えている若者が珍しくありません。つまり、目的があって残業しているということです。

 

日本の企業では、そのような目的を持って残業をしている人は少数派ではないでしょうか。仕事量が多くて連日残業している人もいますが、日中ダラダラと仕事をしていて残業する人も少なくありません。私は、こういう人を見ると、「残業代泥棒だな」と感じます。

 

残業代のためだとしても、本当は残業しなくても済むような仕事で時間をムダにするのが私には理解できません。それなら定時で上がって、空いた時間に副業をしたり、資格を取るために勉強したりしたほうが、有意義に時間を使えるのではないでしょうか。

 

たとえマニュアル人間や残業代泥棒と言われても、バブル期までの右肩上がりで出世できる時代なら、それなりのポストには就けたのかもしれません。

 

しかし、時代はどんどん変化しています。内閣府の調査によると、この5年で40代は5年前に比べると役職比率が下がり、給与も下がっているそうです。

 

従業員100人以上の企業で課長級の比率は、40~44歳は12.3%から10.4%、45~49歳は15.5%から14.7%へと減っています。部長級の比率の場合、40~44歳は2.1%から1.9%、45~49歳は5.7%から4.1%へと、やはりジワリと減っています(内閣府2018年6月「今週の指標」)。

 

40代はバブル期入社世代で社員の数が多いのに、ポストの数は以前より少なくなっているので、役職に就ける人はほんの一握りになっているのです。そして、上の世代が役職に就いたままであれば、20代、30代に出世のチャンスが巡ってくる可能性も低くなると考えられます。つまり、相当頑張って成果を出さないと、平社員のまま定年を迎える確率が高くなるということです。

 

そのうえ、家庭を持ったら生活費や子供の教育費などでお金はかかりますし、両親が高齢になったら介護でお金はかかり、自分自身も年齢とともに病院のお世話になるかもしれません。頼みの綱の年金は当てにならないということは、皆さんも分かっているでしょう。今の給料のままで、老後まで生き抜けるのでしょうか。

 

今は人生100年時代と言われ、定年は70歳どころか、いずれ80歳になるかもしれません。その間、ずっとダラダラと残業して、ボーッと生きていていいのでしょうか?

 

自分自身が人生の主役にならなければ、生きている実感を持てないまま人生を終えることになります。そのときになってから後悔しても、なんにもなりません。今、自分の人生を取り戻すしかないのです。

 

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「残業代泥棒」や「マニュアル人間」たちが生息する日本のオフィス

 

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ながら起業 明日クビになっても大丈夫な働き方

ながら起業 明日クビになっても大丈夫な働き方

小野 りつ子

幻冬舎メディアコンサルティング

「会社」と「起業」を両立! 次世代の画期的な働き方「ながら起業」を徹底解説 今年生まれた子どもの半分が100歳まで生きると言われる「人生100年時代」。寿命が100年となれば、かつてのような「60歳で定年し、退職金と年…

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