「小さな見直し」をすることで、あなたの会社の業績は大きく変わるかもしれません。平石経営研究所代表・経営コンサルタントの平石奎太氏は、書籍『生産性向上はこうする』(幻冬舎MC)にて、規模や業種を問わず、多方面にわたった「生産性向上」事例を紹介しています。本記事で取り上げるのは、長年クレームに悩まされていたとある中小企業です。

加工技術以外の原因によると思われるものが60%

[図表]種類別クレーム件数

 

「種類別クレーム件数」のグラフを更に原因系で類別すると次のようになります。

 

●加工技術に関するもの

・曲げ不良件22件 8%

・溶接不良1件 2%

 

●取り扱いに関するもの

・キズ、サビ3件 8%

 

●事務的間違いに関するもの

14件 25%

 

ここで注目すべき点は、「取り扱いに関するもの」と「事務的間違いに関するもの」、
つまり加工技術以外の原因によると考えられるクレームが約3%、実に半数以上を占めていることです。これは管理技術の問題でした。

材料受け入れの時点でキズがあるものも…対策は?

キズの検討を進めると、そもそも取引先から支給材料を受け入れた時点でキズがあるものがあることが分かりました。又、その他のキズで主なものはクランプ(万力)で材料を掴むときに生じるものでした。そしてこれは材料が重量物であるために当面は避けられないものだということでした。

 

それぞれ次の対策が採られました。

 

①受け入れ時の対策

・支給材料の受け入れ検査を強化し、キズの有無を確認する

・発見された材料のキズについては、営業部が即座に取引先に連絡をして処置を相談する

 

②クランプによるキズ対策

発生が予め予想される場合は、

・受注時にその旨を確認して事前の了承を得る:営業担当者

・受注票を改善:確認を忘れないように受注票に“確認欄”を追加する。

・営業部員の教育:「どんな加工がクランプで掴む必要があるか」

ex.溶接についても受注時に溶接のレベル(完全溶接か否か)の確認をすることにした

 

③加工工程でのキズ対策

・枕木(台木)の使い方を標準化し、写真を現場に掲示する。

 

実は、「曲げ不良」の件のうち4件が最も難度の高い“ロール工程”で発生していました。原因を調べますと作業者(主に外国人研修生)が前工程の技術を十分習熟しないままロール工程に異動していることが分かりました。そこで次の対策が採られました。

 

・十分習熟した後にロール工程に進む

・外国人研修生に「品質保証」の研修を行う

次ページ改善の成果は…

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