通勤・通学に、観光に…東京暮らしには欠かすことができない、地下鉄網。駅の利用客の推移をみていくと、都心のいたるところで行われている開発が、どれほどのインパクトがあったのかなど、さまざまなことがみえてきます。今回は東京メトロの駅に焦点を絞り、その変化に注目していきます。

 

■日比谷線

「中目黒」と「北千住」を結ぶ20.3km。その間に22の駅がありますが、そのなかで最も増加率が高かったのが「南千住」で134%。80年代後半から続く再開発で、商業施設やタワーマンションが誕生し、住民が増加しているほか、2005年につくばエクスプレスが開通し、利便性が向上。「住みたい街」としても注目が高まり、利用客を伸ばしました(図表3)

 

出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成
[図表3]日比谷線駅利用客増減率トップ3 出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成

 

続くのは、旧三井銀行本店を含む再開発で2018年に誕生した「東京ミッドタウン日比谷」の効果が大きい「日比谷」。そして上野と浅草にも近く、インバウンド需要が増加した「入谷」が続きます。

 

■東西線

「中野」と「西船橋」を結ぶ30.8kmに全23駅。「南砂町」を出ると地上を走り、さらに「浦安」からは千葉県になります。そのなかで最も増減率が高かったのが、「落合」で122%。東西線の駅では最も利用客が少ない駅ですが、近年、利用客を伸ばしていました(図表4)

 

出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成
[図表4]東西線駅利用客増減率トップ3 出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成

 

その要因として考えられるのが、周辺の教育機関に通う外国人の存在。「中野」~「高田馬場」~「早稲田」には、大学や専門学校が多く、近年は海外からの留学生が増加しています。彼らの居住地として、家賃が安く通学も便利な「落合」周辺が選ばれたのだと考えられます。

 

■千代田線

「北綾瀬」と「代々木上原」を結ぶ21.9km、20駅。そのなかで最も増加率が高かったのが「明治神宮前」167%。東京メトロの原宿の玄関口であり、また明治神宮の最寄り駅。近年のインバウンド需要の高まりで、利用客を大幅に増やしました。また、続く「代々木公園」も同様にインバウンド需要の増加によるものだと考えられます(図表5)

 

出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成
[図表5]千代田線駅利用客増減率トップ3 出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成

 

■有楽町線

「和光市」と「新木場」を結ぶ28.3km、24駅。最も増加率が高かったのが「豊洲」で185%。近年、次々とタワーマンションが誕生しているほか、オフィスビルも増加。住民と通勤客が増加し、2倍近くも利用客が増加する結果になりました(図表6)

 

出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成
[図表6]有楽町線駅利用客増減率トップ3 出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成

 

「小竹向原」は副都心線の開業により、利便性が大きく向上した駅のひとつ。池袋、都心方面に加え、渋谷、横浜方面にもダイレクトに繋がったことにより、利用客を大きく増やしました。

 

「東池袋」は池袋界隈でも、近年注目されているエリア。2011年にタワーマンションと一体となった「豊島区役所」が移転。2016年にリニューアルオープンした「南池袋公園」はカフェなども併設し、親子連れに人気のスポットになっています。

 

■半蔵門線

「押上」と「渋谷」を結ぶ16.8km、14駅。最も増加率の高かった「押上」では、2012年に「東京スカイツリータウン」が開業。「スカイツリー前」という副駅名も導入され、利用客が大幅に増えました(図表7)

 

出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成
[図表7]半蔵門線駅利用客増減率トップ3 出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成

 

「住吉」「清澄白河」は、近年、都心に近く交通利便性が高いエリアとして、新築マンションが増加。またギャラリーやカフェも増え、都内でもオシャレなスポットとして人気が高まり、来街者を増やしました。

 

■南北線

「目黒」と「赤羽岩淵」を結ぶ21.3km、19駅。最も利用客が増加したのが「六本木一丁目」で156%。周辺では大型のオフィスビルの供給が続き、2016年には旧六本木プリンスホテル等の跡地に、レジデンスとオフィスが一体となった「住友不動産六本木グランドタワー」がオープン。利用客が大幅に増加する要因となりました(図表8)

 

出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成
[図表8]南北線駅利用客増減率トップ3 出所:関東交通広告協議会、2010年、2018年「1日平均乗降人員」より作成

 

続くのが「永田町」で146%。こちらもグランドプリンスホテル赤坂の跡地の再開発事業で、オフィス、商業施設、賃貸レジデンス、ホテルなどからなる「東京ガーデンテラス紀尾井町」が2016年に誕生。利用客の増加に貢献しました。

 

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