地元のイベントをパッケージに盛り込んだら…
土産物に求められるのは、「ご当地感」であり、「旅行に行った思い出」などをパッケージで語れる仕掛けがあれば、なお購買意欲をそそるでしょう。定番の銘菓もいいものですが、買い手の優先順位は「おいしさ」より
「旅行に行ってきたという証明になるもの」
「地元に帰って話のネタになるトークグッズ」
のほうが高いのではないでしょうか。
徳島県には「金長まんじゅう」という銘菓があります。この「金長まんじゅう」と、同シリーズの「金長ゴールド」が各5個、計10個入った「詰10」と呼ばれる商品があり、写真のパッケージで約40年間販売されています。
地元県民にはおなじみのパッケージで、ひと目見ただけで「詰10」とわかるほどですが、県外から来た人にはわかりません。つまりこのパッケージでは、土産物としての魅力・インパクトに欠けるということです。
2018年、製造・販売元のハレルヤから当社に「詰10を夏季限定のパッケージで売り出したい」という企画提案依頼がありました。打ち合わせの上、徳島の夏といえば「阿波踊り」となり、大きく踊り子をデザインしたパッケージで販売しました(写真3-5)。
発売期間は7月中旬から、阿波踊りが終了する8月中旬までの約1か月間限定です。この時期は徳島最大の観光シーズンであり、県外から訪れる人の大半は阿波踊りの観覧が目当てです。
ねらいどおりこの期間限定パッケージは、観光客のニーズに合ってヒットしました。
前年2017年7月同期間の売上が4000セットだったのに対して、2018年同期間は6000セット、1.5倍の売上を達成したのです。
観光客に加え、地元の人が県外に出張に行くときなど、「徳島の夏といえばやはり阿波踊り」と購入したケースも多かったようです。また、期間限定パッケージにしたことで「ハレルヤが夏季限定で阿波踊りパッケージの金長まんじゅうを発売」と、地元の新聞などに取り上げられ、売上増にひと役買ってくれました。
ほか、パッケージデザインに採用した阿波踊りの連(チーム)がInstagramで紹介したことで、多くの反響がありました。
このように、時期に応じてお客様の求める価値が変わることもあります。それをパッケージで表現することで、購買意欲が高まったり、メディアなどに取り上げられたりするきっかけになるのです。
松浦 陽司
株式会社パッケージ松浦 代表取締役社長
※本連載では、世界でただ一人の“パッケージマーケッター”松浦 陽司氏の著書『売上がグングン伸びるパッケージ戦略 赤字商品が大ヒット商品に化ける!!』から一部を抜粋して、売れるパッケージの秘密について解説します。