日本各所に点在する、高級住宅地。どのようにして高級住宅地となったのか、その資産価値はどれくらいなのか。富裕層が住む、知られざる高級住宅地のストーリーを紐解いていきます。今回ご紹介するのは、千代田区番町。

日本屈指の高級住宅地…江戸時代の武家屋敷街が発祥

千代田区一番町から六番町の総称である千代田区番町。日本で初めての高級住宅地と言われています。皇居の西側に位置し、南に新宿通り、北に靖国通り、東に内堀通り、西は「四ツ谷」駅に至るまでの区域。駅としては「半蔵門」「麹町」「市ヶ谷」「四ツ谷」が利用できるエリアです。

 

与謝野鉄幹、晶子旧宅跡付近/PIXTA
与謝野鉄幹、晶子旧宅跡付近/PIXTA
[図表1]千代田区番町周辺図

 

番町は内堀通り沿いにある「イギリス大使館」のほか、「ローマ法王庁大使館」、「ベルギー大使館」、「ルクセンブルグ大使館」、「イタリア文化会館」など、各国の公館が立地し、その駐在員が多く住む街です。荘厳なたたずまいの洋風建築が点在し、国際色豊かで格調高い街並みを形成しています。

 

また「大妻女子大学」「東京家政学院大学」「二松学舎大学附属高等学校」などの学舎が集積するほか、「番町小学校」や「九段小学校」「麹町中学校」「都立日比谷高校」など、公立の名門校が軒を連ね、アカデミックな雰囲気も併せ持っています。

 

一方で皇居が近いこともあり、靖国神社や豊川稲荷など、神道・仏教の拠点があるのも特徴。日本らしさと国際色とのコントラストは、千代田区番町の魅力をさらに引き立てています。

 

そもそも番町は、江戸城の西の守りを固めるために、この付近に「大番組」と呼ばれる旗本を住まわせたことに由来しています。その大番組は一番組から六番組で構成され、現在の町名も一番町から六番町となりました。

 

明治になると番町は、中央官庁街や皇居に隣接しているという立地から、広大な敷地をもつ武家屋敷の跡地に官舎や華族の屋敷が建ち並ぶようになります。日露戦争で活躍した東郷平八郎が自身の邸宅を構えたのも三番町。その跡地は現在「東郷元帥記念公園」として整備され、近くの坂は「東郷坂」と命名されるなど、当時を偲ぶことができます。また1872年に「英国公使館」が一番町に移転してくると、番町には多くの大使館が移転してきました。

 

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