ナスダック急落の背景と今後のポイント

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9月3日(木)の米国株式市場は、大型成長株の下落をきっかけとした利益確定売りが広がり、NYダウ指数は前日比2.78%安、S&P500指数は同3.51%安、ナスダック総合指数は同4.96%安となった。大型成長株が下落した要因としては、①アップル/テスラ株式分割による材料一巡、②テスラの増資や大株主の保有縮小、③投資初心者によるパニック売りなどが挙げられる。

過熱感が高まっていた大型成長株

今回の米国株式市場、とりわけナスダックの急落は、複合的な要因が背景にある。まずは、ナスダック総合指数の上位を占めるテスラやアップルが株式分割を8/31に行い、材料一巡感が出ていた中で9/1にテスラが最大50億ドル相当の増資を発表した。そして、翌日9/2にはテスラの大株主である英資産運用会社ベイリー・ギフォードがテスラ株の保有を縮小したことを受けて、テスラ株が連日急落する展開となった。これに「連れ安」するかたちで、9/3は急激な株価上昇で過熱感が高まっていた大型成長株全般に利益確定売りが広がった、という流れだ。そして、その利益確定売りに拍車をかけたのが、投資初心者によるパニック売りだ。

 

米国ではコロナショック後、新興オンライン証券会社ロビンフッドが急激にシェアを伸ばしており、特に20代~30代の投資初心者が口座開設をしていると言われている。その投資初心者が買い上げてきた大型成長株が一転して下落しはじめたため、パニック的な売りを誘発したと考えられる。

今後のポイントは?米国大型成長株の「一極集中相場」の対処法

今後のポイントは、①実質金利、②新型コロナワクチンの承認、③巨大IT企業の規制強化だろう。大型成長株の一極集中相場をもたらしたひとつの要因は、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利の低下だ。その実質金利は、FRB(米連邦準備制度理事会)による積極的な金融緩和姿勢を反映して低下傾向にあるため、今後も「支援材料」であることに変わりはない。その一方で、②や③は大型成長株にとっては目先リスク要因となりうる。中でも②はすでにFDA(米食品医薬品局)が新型コロナワクチンの緊急承認に向けて準備を進めているため、投資家の注目がアップルやテスラのような大型成長株から(経済活動の更なる再開見通しを受けて)幅広い景気敏感株へシフトする可能性がある。

 

このように大型成長株にはプラス材料とマイナス材料が入り混じっていることから、今後は米国の大型成長株だけでなく、地域分散や業種分散、スタイル分散(成長株/割安株など)を徹底していくことが重要になるだろう。

 

日次、配当無し、米ドル建て、単位:ポイント、期間:1月2日~9月3日 出所:各社発表資料、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ナスダック総合指数の年初来推移(上段)とRSI(相対力指数、下段) 日次、配当無し、米ドル建て、単位:ポイント、期間:1月2日~9月3日
出所:各社発表資料、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成

 

四半期、単位:万件、期間:2019年10-12月~2020年4-6月 Robinhoodは2020年6月のみ開示  出所:各社発表資料、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米オンライン証券会社別の1営業日当たり取引件数 四半期、単位:万件、期間:2019年10-12月~2020年4-6月
Robinhoodは2020年6月のみ開示
出所:各社発表資料、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成

 

日次、単位:%、期間:1月2日~9月3日 出所:各社発表資料、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成
[図表3]米国10年物価連動国債利回り(実質金利) 日次、単位:%、期間:1月2日~9月3日
出所:各社発表資料、ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成


 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ナスダック急落の背景と今後のポイント』を参照)。

 

(2020年9月4日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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