代理店がアカウント隠しで行う不正の具体例とは
●アカウント隠しでこうやって不正をする
なにごともそうですが、開示すべき情報を隠すことは不正の温床となります。その不正の手口を知っておくと、業界の人間にいいようにされずに済みます。次はその一例です。
2つのサイトにウェブ広告を出していて、予算は両方合わせて月に100万円で、10件の反響を取ることが目的だとします。
ある月の実績で、サイトAで8件、サイトBで2件の反響があり、合わせて10件の目標を達成しました。ある広告代理店は、これをその通り月次レポートに書かずに、サイトAが5件、サイトBが5件と報告しました。
これだけはっきり反響に差が出たら、本来はサイトAに予算を絞るのが賢明といえます。それを5件ずつ取れているとクライアントに報告して、どちらも反響がいいから両方とも予算を増やしましょうと勧めるのです。
数字をごまかしてしてサイトBを推す理由には裏があります。実はサイトBは広告料金の30%が広告代理店に入ってきますが、サイトAは20%です。広告代理店としては、サイトBの広告をなくしてしまうと利益が少なくなるので実際の反響よりも水増しし、その分サイトAを減らしたわけです。
クライアントが自分で把握できるのは、実際に反響があったことを知っている合計10件という数字だけです。どういう経路で問い合わせが来たかまでは管理画面を見ないと分かりません。でもまあ目標を達成してよかったということで済まされてしまいます。
このように媒体によって広告代理店への手数料が違う場合は結構あるので、手数料のいい方を優先しようという方に傾きがちです。両方の予算を増やすのが難しければ、サイトBの方が、反響がいいように見せて予算を増やし、パフォーマンスのよいサイトAの方を減らしてしまうかもしれません。もしBの費用対効果が悪いのをAがフォローしていることがクライアントに分かると、もうBは止めてしまえと言われてしまうかもしれません。
だから代理店は生の情報をクライアントに知らせないのです。
顧客のメリットとは相反するのですが、広告代理店の事情でこうした操作が行われます。