ウェブマーケティング業界は楽して儲けようという人が多いと指摘するのは後藤ブランド社長の後藤晴伸氏だ。「高い費用をかけても売り上げは伸びなかった」「報告書を読んでも、担当者に聞いても何をしているのかわからない」「契約したとたん対応が悪くなった」……。同業者にとって耳の痛いウェブマーケティングの実態を暴き、本当の魅力を伝える。本連載は後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)の抜粋原稿です。

代理店がアカウント隠しで行う不正の具体例とは

●アカウント隠しでこうやって不正をする

 

なにごともそうですが、開示すべき情報を隠すことは不正の温床となります。その不正の手口を知っておくと、業界の人間にいいようにされずに済みます。次はその一例です。

 

2つのサイトにウェブ広告を出していて、予算は両方合わせて月に100万円で、10件の反響を取ることが目的だとします。

 

アカウント隠しで不正を働く手口とは。(※写真はイメージです/PIXTA)
アカウント隠しで不正を働く手口とは。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ある月の実績で、サイトAで8件、サイトBで2件の反響があり、合わせて10件の目標を達成しました。ある広告代理店は、これをその通り月次レポートに書かずに、サイトAが5件、サイトBが5件と報告しました。

 

これだけはっきり反響に差が出たら、本来はサイトAに予算を絞るのが賢明といえます。それを5件ずつ取れているとクライアントに報告して、どちらも反響がいいから両方とも予算を増やしましょうと勧めるのです。

 

数字をごまかしてしてサイトBを推す理由には裏があります。実はサイトBは広告料金の30%が広告代理店に入ってきますが、サイトAは20%です。広告代理店としては、サイトBの広告をなくしてしまうと利益が少なくなるので実際の反響よりも水増しし、その分サイトAを減らしたわけです。

 

クライアントが自分で把握できるのは、実際に反響があったことを知っている合計10件という数字だけです。どういう経路で問い合わせが来たかまでは管理画面を見ないと分かりません。でもまあ目標を達成してよかったということで済まされてしまいます。

 

このように媒体によって広告代理店への手数料が違う場合は結構あるので、手数料のいい方を優先しようという方に傾きがちです。両方の予算を増やすのが難しければ、サイトBの方が、反響がいいように見せて予算を増やし、パフォーマンスのよいサイトAの方を減らしてしまうかもしれません。もしBの費用対効果が悪いのをAがフォローしていることがクライアントに分かると、もうBは止めてしまえと言われてしまうかもしれません。

 

だから代理店は生の情報をクライアントに知らせないのです。

 

顧客のメリットとは相反するのですが、広告代理店の事情でこうした操作が行われます。

次ページクライアントを無視して代理店本位のビジネス
増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

後藤 晴伸

幻冬舎メディアコンサルティング

業界を知り尽くした著者がウェブマーケティング業界の闇を暴露する衝撃の一冊。 インターネットがビジネスでも必須の存在となり、ウエブを活用した賞品宣伝や集客が当たり前になり、検索順位を上げたり、広告から商品の購入に…

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