特徴:「目には目を歯には歯を」という前近代的な思想に取り憑(つ)かれている。ひたすら後ろ向きで、今自分が何をしているのか見えていない。
Why? なぜ怒る:過去や未来にとらわれていて、心ここにあらずの状態が怒りを生んでいる。「今、この場所」に集中できない限り復讐から解放されない。
自分の辛い気持を仕返しすることで発散しようとする
元カレや元カノに「裏切られた!」と恨みを抱き、相手の過去の恥ずかしいLINEなどをスクショしたものをSNSにアップして復讐するというケースが相次いでいます。交際していた時に撮影した相手のヌード写真や性行為の動画をネットに流すリベンジポルノは、その最たるものといっていいでしょう。
別れは辛いものですが、その苦しみを乗り越えることで人は成長できます。相手にダメージを与えても憎しみの応酬になるだけで、二人の仲がもとにもどることはありません。下手をすれば裁判沙汰に発展して、もっと痛手を負うかもしれません。
復讐は復讐を呼び、怒りを増幅します。この連鎖を断ち切るには、「あのときこんなひどいことをされた」と、過去の出来事にとらわれるのをやめ、「今、この場所」だけに集中するように気持ちを切り替えるしかありません。
この手法はグラウンディング(意識を地面にくぎ付けにするという意味)というアンガーマネジメントのテクニックの1つで、目の前にある怒りとは関係ないものに意識を向けることで、怒りが膨張するのを防いでくれます。
安藤 俊介
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事