夫に「言わなくても、わかってほしい」と期待しても無駄なワケ

産後の夫婦関係はその先何十年を左右する。日本では「産後うつ」になる女性が30%を超えるが、男性のサポートが得られなかったことも大きな原因だろう。産婦人科院長を務める著者が、夫婦で仲良く過ごすための男性からの働きかけのヒントを伝授する。本連載は、東野産婦人科院長の東野純彦氏の著書『知っておくべき産後の妻のこと』(幻冬舎MC)から一部を抜粋した原稿です。

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夫婦はルームメイトのように生活してみては?

結婚生活とは、極論すれば「他人と生活をすること」です。育った環境も食べてきたものも、見てきた景色も何もかもが違う二人が同じ空間で暮らす。「お風呂に入らないまま布団に寝るのは嫌だ」という人もいれば「着替えればいいじゃん」という人もいる。「食事をするときはテレビを消してほしい」という人もいれば「小さいころからテレビを見ながら食事をするのが普通だった」という人もいる。

 

もしもこれがルームメイトだったら「あの人とは育った環境も暮らしてきた場所も違うから仕方ない」と納得できるのですが、なぜか夫婦になると「どうして自分の生活に合わせてくれないのか」と思ってしまいます。親や兄弟でも100%分かり合えないというのに、なぜ夫や妻には「自分の気持ちが分かって当然」と錯覚してしまうのか。

 

何度も繰り返しますが、夫婦は赤の他人なのです。そんな二人が「言わなくても分かり合えるはず」なんてことはありません。だからこそ、お互いの「違い」を認め合ってほしいのです。

 

「食事のときはテレビを消してほしい妻」と「テレビをつけていたい夫」は、お互いの主張をぶつけ合わない限り、やがて食事をする時間が別々になり、家庭内別居のような状態になりかねない。そんな家庭で、子どもがすくすく健康に育つとは思えません。

 

もしここできちんと話し合いがなされれば、例えば「日曜の19時はどうしても見たいテレビがあるから、この日だけは食事の時間をずらそう」とか、「まずは1カ月、テレビをつけずに食事してみてから決めよう」といった提案が出てくるでしょう。これこそが「家庭をつくっていく」ということなのです。

 

「自分はこうしてほしいから絶対に従ってほしい」「実家ではこうだったから同じようにしてくれ」と、一方的な自分ルールを押し付けないことです。お互いの考えを伝えたうえで「自分たちのルール」を新しくつくっていくのです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

夫婦は結婚の約束を交わしたとき、死ぬまで添い遂げることを誓ったはずです。時にはお互いを憎み合うこともあるかもしれません。ボロボロになるまで喧嘩をすることもあると思います。それでも夫婦であるならば、一生一緒にいられるよう、互いに協力し合ってほしいのです。「言わなくても分かってくれるだろう」という考えは、今すぐ捨ててしまいましょう。言わなければ相手には伝わりません。それが夫婦なのです。

すぐググって答えを出すのも考えもの……

そうはいっても、いきなり話し合いがスムーズに進んで夫婦仲が劇的に改善するなんてことはあり得ません。そんなに簡単な話ではないから、多くの人が悩んでいるのです。まず夫である男性は、自分の妻がいったいどんなことを求めているのかを知ることから始めましょう。今から紹介するのは、一般的に、産後の妻が夫に対して求めているとされる言動です。ぜひ参考にしてみてください。

 

1.急いで解決しようとするのではなく、話を聞いてほしい

 

例えば妻が「最近、あんまりおっぱいを飲んでくれなくなっちゃって、どうしよう」と相談してきたとします。夫はすぐに解決策をネットで調べ「母親の食べ物が影響して、母乳がまずくなることがあるんだって」と妻に教える─。残念ながらこれは論外です。この結果、「私が原因だっていうの⁉ だいたいあなたは夜中に私が眠い目をこすっておっぱいをあげていることも知らないでしょ⁉よくそんなひどいことが言えるわね!」と妻を怒らせてしまいます。

 

妻の悩みを解決するために伝えた情報が、言い方次第で怒りを生んでしまう。私たち現代人は、子どものころから正解がある問題しか解いてきていないので、何事にも正解があると思ってしまいます。だから、なんでも自分の頭でよく考えず、すぐに正解を探そうとする。しかし、妻はそんなことは求めていないのです。またネットには不確かな情報もたくさんあるので、安易に情報をうのみにし、そのままを教えることはおすすめできません。

 

だからといって「ふぅん。まぁ、そんなに心配する必要ないんじゃない?」と言ってしまえば「そうやってあなたはいつも他人事なんだから! どうして私ばっかり考えないといけないの ⁉ 」と怒りを買ってしまうことも。

 

ここでの正解は「そうなんだ。確かにいつもおっぱいをあげてくれる君が言うなら、ちょっと心配だね。でもあまり気にしすぎるのも良くないだろうから、もう少し様子を見てみようよ。それでも気になるなら病院の先生に聞いてみよう」と、寄り添う言葉をかけてあげること。「こうしたら良いんじゃないか」と決めつけず、妻の意見を尊重しながら大変さへの理解を示すのです。そうすれば、妻の精神状態はぐんと良くなります。

東野産婦人科院長 

東野産婦人科院長
1983年久留米大学医学部卒業後、九州大学産婦人科教室入局。1990年国立福岡中央病院に勤務後、東野産婦人科副院長に就任。その後、麻酔科新生児科研修を行う。1995年同院長に就任。東野産婦人科では“女性の一生に寄り添う。これまでも、これからもずっと。"をテーマに、妊娠・出産・育児にかかわらず、思春期から熟年期、老年期まで女性の生涯にわたるトータルケアを目指す。お産については家庭出産と医療施設の安全管理の長所を活かした自然分娩を提唱。フリースタイル分娩、アクティブバースの推進など、母親の希望の出産に合わせてサポートしている。また、赤ちゃんとの関わり方が分からない父親のための「赤ちゃんサロン~パパ&ベビークラス」や、育児における父親の役割を学ぶための「父親教室」なども開催。子育てに取り組む夫婦にしっかり寄り添うクリニックとして定評がある。

著者紹介

連載「産後クライシス」…冷え切った夫婦仲を修復する処方箋

知っておくべき産後の妻のこと

知っておくべき産後の妻のこと

東野 純彦

幻冬舎MC

知らなかったではすまされない「産後クライシス」―― 産後の妻の変化、訪れる最大の離婚危機…… カギを握るのは夫の行動!? 女性の生涯に寄り添ってきた産婦人科医が伝授する夫婦円満の秘訣とは

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