株式投資には、著名な投資家が言ったものから、機関投資家が言い始めたものまで、名言がつきものです。ただ経験の浅い個人投資家は、名言の真意がわからないまま、ということも。そこで今回は、株式投資において有名な名言を取り上げ、その真意を検証していきます。※本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する、株式会社ソーシャルインベストメントでトレーダーとして活躍する川合一啓氏が、個人投資家が株式市場で勝ち続けていくための極意について説明していきます。

「株の名言」に疑問を呈してみる

確かにどの名言も、納得できる要素を持っていると思えます。しかし、よく考えると、名言同士に矛盾があったり、現実的に難しいことがあったりすることに、お気づきではないでしょうか?

 

たとえば、「3-辛抱する木に金がなる」などは、短期の株価変動でのむやみな売買を戒めているようですが、「4-天まで届く相場はない」「5-三割高下に向かえ」「6-知ったらしまい」などでは、適度なところでの手仕舞いをすすめているようです。

 

また、「10-今の姿ではない、今よりさらによくなるかを見よ」とありますが、「11-ついた値段は正しい」とあります。これも、矛盾しているように思えます。

 

さらに、「12-相場は夢と現実の間で揺れ動く」「13-形あるもの、動きあるものには訳がある」などでは株価の予測が可能であると言っているようですが、「14-相場は思った通りには動かない」ではそれを否定しているようで、これも矛盾しています。

 

他に、「18-人の行く裏に道あり花の山」「19-麦わら帽子は冬に買え」では注目されていない銘柄を買うことの優位性を述べているようですが、「20-割高に売りなし、割安に買いなし」では不人気の割安株を否定しているようで、これも矛盾ではないでしょうか。

 

そもそも、「2-他人を頼るべからず、自力を頼むべし」では他人に流されないことをすすめていますが、流されているか・いないかの判断が難しいのです。

 

また、「9-「もう」はまだなり、「まだ」はもうなり」「10-今の姿ではない、今よりさらによくなるかを見よ」などと言っても、本当の天井や底を見抜くことや、将来のことを予想するのがどんなに難しいかは、ある程度経験のある投資家の方でしたらおわかりでしょう。

 

そして、「15-卵は一つの篭に盛るな」とは言いますが、集中投資がうまくいけば大きなリターンを得られるのに対して、買う銘柄を増やしてリスクを分散すれば、リターンも小さくなりがちです。その点はどうすればよいのでしょうか?

 

このように、1つ1つは納得できる名言の数々も、よく考えると素直に納得できない点が少なくないのです。

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