どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは京成電鉄本線「堀切菖蒲園」。

歌川広重が浮世絵に描いた、菖蒲の名所がある街

「堀切菖蒲園」は東京都葛飾区の西端、荒川に面した一角に位置する、京成電鉄本線の駅です。1日の乗降客数は2.2万人強。同じ「堀切」と名前のついた東武鉄道伊勢崎線「堀切」駅は、荒川を渡った足立区にあり、徒歩20分ほどです。

 

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堀切は、室町時代の資料にも出てくる古い地名です。その由来は、この地を開発した領主の館に堀があったからなど諸説ありますが、詳しいことはわかっていません。

 

駅名となっている「堀切菖蒲園」は、駅から徒歩10分ほど。江戸系花菖蒲を中心に6000株の花菖蒲が植えられた名所です。「江戸百景」に数えられ、鈴木春信や歌川広重の浮世絵に登場します。

 

実は、戦前までは、この地域は東京近郊の農村地帯で、いくつかの花菖蒲園が栄えていました。しかし昭和時代初期に当時の東京市に編入されると、急激に都市化が進行し、堀切園以外の菖蒲園は廃園となってしまいました。現在の堀切菖蒲園は、戦後唯一復興を果たした「堀切園」の一部が母体となっています。

 

堀切の名前は、交通情報を聞いていると、ほぼ毎日「首都高速道路、堀切ジャンクション」と聞くので、意外とメジャーです。その高速から見える、大きな看板が印象的な「ミヨシ油脂」は、マーガリンなど食品油生産では日本有数のメーカー。ほかにも堀切周辺には町工場が多く点在します。川が近く水が豊かなことから、以前は染色や硝子の工場が多かったといいます。また道路交通が発達し、工場も多いという立地から、物流拠点も集積しています。

 

駅周辺には「堀切中央商店街」など、地域に密着した5つの商店街があり、加盟店は200以上。典型的な下町という雰囲気で、多くの買い物客で賑わっています。また「堀切菖蒲園」は、ファンには知られたラーメン激戦区。駅徒歩5分以内に、10軒以上のラーメン店がしのぎを削っています。下町情緒が残っているため、区画整理はほぼされていません。道幅が狭いところが多く、高齢者が多いエリアなので、自転車の運転でも細心の注意を図りたいところです。

 

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