押さえておきたい! 「売れる仕組み3原則」
最初のうち、試食は無料か無料に近いものを提供します。たとえば、ビジネス系なら、新聞記事、web記事、ブログ記事やメルマガなどがいいでしょう。試食用に、事前にいくつか記事をピックアップしておいたり、カテゴリーごとにまとめて、引き出しのように、いつでも取り出せるようにしておいたりすると、いざという時に素早く提供できます。
こちらから何度か試食を行うことで、相手の関心が高まってきたら、関係書籍を購入してもらったり、導入セミナーを紹介したり、少しずつハードルを上げて本命に近づけていきます。
仮に、見込み客が久しぶりに会う相手だった場合、まずは信頼関係の構築に力を注ぎます。情報提供は、必ずしも商品に関することである必要はありません。たとえば、「最近、結婚した」という相手であれば、「カップルが行くのにちょうどいい雰囲気のレストランがあるから教えてあげよう」でもいいですし、「管理職になった」という相手には、自分が読んで役に立ったマネジメントの本を紹介するのでもいいでしょう。
このようにして、相手との関係性を築きながら、提案→貢献を繰り返します。注意点としては、情報提供(試食)を行ったら、必ず相手のリアクションを確認するようにしてください。ありがちなのが、情報提供をして終わり、というパターンです。
試食を行う際は、きちんと目的を持って情報を提供することが大切です。いい人になるだけでは、売れる仕組みをつくれません。こちらがアクションを起こせば、相手からは、必ず何かしらの反応があるはずです。「おもしろい」、「興味がない」といった端的な反応から長文にわたる感想まで、きちんと相手のリアクションを確かめるようにしましょう。
基本は、相手から「もっと欲しい」というシグナルを感じてから、次のステップに進んでもらうようにします。万一、相手のリアクションを待たずに、「あなたには、これが絶対に必要だから」 と商品を売り込んだりすると、押し付けになってしまいます。あくまでも、買うか買わないかは、相手に100%決定権がある、ということを忘れないようにしましょう。
このようにして見込み客に当たり、相手が自分のお客さんになってくれるかどうか?を仕分けします。仕分けには、「相手に次の段階に進んでもらうか?」「今は待ちの状態か?」「リストから外すか?」の3つがあります。もちろん、必要に応じてフォローは入れます。たとえリストから名前を外したとしても、別の商品のお客さんになる可能性はあります。お客さんや扱う商品が増えてきたら、商品ごとのリストをつくったほうがいいでしょう。
売れる仕組みの最後のステップが、「オファー(商品提示)」です。ここでも、売り込みなどは一切しません。判断材料を提示し、満足条件を確認します。相手から「これを買いたいです」と手が挙がれば見込み客リストから顧客リストに昇格させます。手が挙がらない人を追いかける必要はありませんが、NOはしっかりともらってください。
売れるセールスの仕組みとは、顧客一人一人に対してカスタムメイドをすることに他なりません。あなただって、誰かから関心を寄せられ、自分の興味あることに対して、「こんなのがあったよ」と記事を探してきてくれたりしたら、嬉しいですよね? どんな人だって、自分が欲しくもないものを押し売りされれば、「買わされた」とイヤな気持ちになるでしょう。
でも、そうではなくて「あ、ちょうどこんなのが欲しかったんだよ」というものを、向こうから差し出されたら、素直に喜ぶのではないでしょうか。このようなシチュエーションで、「買わされた」と思う人はいないはずです。セールスの本質とは、相手が欲しいと思いながら、知ることができなかった情報を伝え、相手のお悩み解決の手助けをすることにあるのです。
俣野 成敏
ビジネス書著者
投資家
ビジネスオーナー