日本語には、「損する言葉」と「得する言葉」の2種類がある。前者は幼稚で相手の配慮が不足しているイメージ、後者が知性や教養が溢れるイメージだ。「得する言葉」を使うことで、コミュニケーションが円滑になり、仕事や人生にも好影響と著者は語る。言葉遣いを変えるだけで好印象を与える「語彙」の数々を徹底解説。本連載は安田正著『超一流 できる大人の語彙力』(プレジデント社)から一部を抜粋した原稿です。

 

(4)雲泥の差
意味:天と地ほどの違いがある。 大きな違いがあること

 

 私と彼の表現力には、雲泥の差があります。

× 私と彼の表現力は、結構違います

違いの大きさがはっきり伝わるか

「結構」は本来、完全ではないが、それなりに十分である様子を伝える言葉です。「新人でも、結構知識がある」「結構、おもしろい」などと使われるのが正しい表現です。×の表現でも、違いがあることは伝わりますが、はたして「結構な違い」とは、どれくらいの違いなのか、曖昧でもあります。「天と地ほどの差」「大人と子どもほどの差」などと言い換えることもできます。

 

 

 

(5)ただ事ではない
意味:いつもとは違う、普通ではない状態。大変なことになった

 

 それは、ただ事ではないようですね。

× それってヤバいですね。

相手に「どのように理解してもらいたいか」を考えるか

安田正著『超一流 できる大人の語彙力』(プレジデント社)
安田正著『超一流 できる大人の語彙力』(プレジデント社)

昨今、老若男女問わず使われる機会が多い言葉のひとつがこの「ヤバい」です。ボキャブラリーがなかなか増えなくて悩んでいる理由は、この「ヤバい」を多用することに原因があるのかもしれません。

 

そもそも、今使われている「ヤバい」という言葉は、意味する範囲がとても広く、年代や性別 の違いで、同じように理解することができないことも多くあります。×の例のように、「大変なことだ」という意味で使われるケースだけでなく、「すごい(美味しい)」 「すごい量(大きい)」「これはマズい(よくない)状況」など、「普通とは違う状態」の、さまざまなシーンで使われています。

 

このような使い方は、「『ヤバい』というひと言で済ませることで、相手に何をどのように理解 してほしいかを放棄している」態度に思えて仕方ありません。

 

「ヤバい」を使ったとたん、物事を深くとらえずに、その内容を表現しようとすることをやめて しまう、一種の思考停止になってしまいます。なるべく「ヤバい」で済ませないように意識して心がけ、違う言葉 で自分の気持ちや意見を表現しようとしてみる……。その結果、あなたの語彙力はグンと高まります。

 

「大変なことになった」「とんでもないことになった」と言うこともできますし、「由々しき事態になった」という表現でも、ほぼ同じ意味を伝えることができます。

 

安田 正
株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表取締役
早稲田大学グローバルエデュケーションセンター客員教授

 

超一流 できる大人の語彙力

超一流 できる大人の語彙力

安田 正

プレジデント社

“損する言葉"と“得する言葉"。言葉づかいの選択で残念な人生を送っていませんか? この本は、普段、あなたが使っている言葉が“損する言葉"であるか“得する言葉"であるか、ひと目で判断できる! そのような内容になっていま…

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