いつの時代もなくならない相続トラブル。「生前しっかり話し合ったから大丈夫」…ではないのです。相続発生後、まさかの事態が起きてしまったら? 今回は、相続した不動産が「事故物件」として扱われてしまった実例を、相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏が解説します。 ※本連載は遺言相続.com掲載の事例を編集したものです。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
またまた問題発生。院内には山積みの…
仕方なしに新しい買い手を探していたところ、「事件発生前の価格の5%引きで購入したい」という人が見つかりました。ただ、1つ条件がありました。それは、建物を解体・撤去すること。
「この金額で売れるなら…」とBさんとCさんは承諾し、交渉に入ります。しかし、また問題が発生したのです。
■賃借人の遺族が相続放棄
アパートやマンション、店舗などを借りていた個人が亡くなった場合、賃借権が相続の対象となります。院長は結婚せず独り身でしたので、両親と弟さんが相続することになりました。
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しかし、院長の死亡が確認されてすぐに全員が相続放棄をしたのです。BさんとCさんに降りかかった問題は、建物内にある治療機器、レントゲン装置などの残置物。そう簡単には売れないものばかりでした。
「どうすんだ、これ…」
きょうだいは途方に暮れてしまいました。
株式会社アレース・ファミリーオフィス 代表取締役
一般社団法人相続終活専門協会 理事
大学卒業後、住友生命保険に入社。その後、英スタンダードチャータード銀行にて最年少シニアマネージャーとして活躍。2009年、経営者層の税務・法務・ 財務管理・資産運用を行う「アレース・ファミリーオフィス」を設立。以降、4000件以上の相続案件を手がけた「相続のプロ」。数多くの相続争い(争族) を経験するなかで、争族を避けるノウハウを確立。そうした知見を幅広く認知してもらう目的で「一般社団法人相続終活専門協会」を設立し、代表理事に就任。
著書『プロが教える 相続でモメないための本』(アスコム刊)などがある。
遺言相続.com(https://egonsouzoku.com/)
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連載相続専門家・江幡吉昭の「相続争いはこうやって防ぎなさい」