これらの様々な開国は、それぞれの時代において大きな社会論争を巻き起こしたと思います。江戸末期においては、海外と交易などするべきではないという攘夷論もありましたし、輸出とは国富の流出とも考えられたりしました。後には、国内工場の海外移転は好ましくないという意見もありました。政府が観光立国構想を打ち上げた時にも、反対する意見がありました。そのようななかでも、日本は長期的な視野に立ち、世界から自国への富の還流を作り上げることに知恵を絞り、今日までの歩みを着実に進めてきました。
では、令和時代に豊かな日本を維持するために、私たちはどういう意識を持つ必要があるのでしょうか?
その答えの一つは、私たち個人個人が、新たな開国に取り組んでいくことであると考えます。約1,900兆円といわれる個人金融資産を、世界経済と同じ船に乗せ、世界経済の成長の一部を日本に還流させるという取り組みです。
これまで、個人の金融資産の殆どは日本資産へ投資される傾向にありました。つまり、個人のお金や投資という観点では、鎖国のような状態が続いてきました。投資における長期的な収益は、いつの時代も、その先にある社会の豊かさの増加に連動します。先々のことは誰にも分からないものの、さらなる少子高齢化が進むといわれる令和時代においては、日本の資産全体の長期的な収益が、平成時代と同様に、世界のなかで見劣りしてしまう可能性を想定しておく必要があると考えます。
一方、個人における海外投資が進み、個人金融資産全体が長期的に拡大していけば、どうなるでしょうか?
老後資金に対する不安が減り、日本の消費が拡大していくことにも繋がっていきます。その結果として、日本経済の成長率や日本資産全体の収益性が高まることにもなるでしょう。
海外投資は、モノを選ぶ時と同じようなマインドで
個人が海外投資を考える際には、モノを選ぶ時のように、広い視野を持つことが重要であると考えます。現在の日本では、多くの人が国内外のモノやサービスを比較し、より良いと思ったものを自由に選択していると思います。
たとえば、新しくスマートフォンを購入する際は、アップル、サムスン、ソニーなど、国内外の製品を比較される方が多いのではないかと思います。