これまで日本の投資家の多くは、明確な目標を持たず資産運用を行っていました。しかし、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社 グローバル資産形成研究所は「短期の値動きに振り回されず、じっくりと投資を続けるためにも、長期の利回り目標を定めるべき」だと述べています。今回は、資産運用においての「長期の利回り」について見ていきましょう。

「長期の利回り目標」を決めておくのは難しいが…

今までのマインド:明確な目標はおかない
新しいマインド:世界の一人当たりGDPの成長率を目標とする

 

長期の資産運用を行う際に、明確な利回り目標を決めるのは難しいと思われる方が多いかもしれません。しかしながら、短期の値動きに振り回されず、じっくりと投資を続けるために、長期の利回り目標は定めるべきだと考えます。

 

では、長期で目指すべき利回りとは、何%が妥当なのでしょうか?

 

長期で目指すべき利回りとは?(画像はイメージです/PIXTA)
長期で目指すべき利回りとは?(画像はイメージです/PIXTA)

 

私は、資産運用の利回り目標を「世界の一人当たり名目GDP(一人当たりGDP、以下同様)の長期の年平均成長率」と定めることを提案したいと考えています。

 

一人当たりGDPとは、国全体の経済規模を示すGDPを人口で割ったもので、一人当たりの経済的な豊かさ(生活水準など)を示すものです。そして、その成長率は、一人当たりの経済的な豊かさの変化率を示しています。

 

世界の一人当りGDPの成長率を長期の目標とすべきと考えるのは、二つの理由からです。

 

一つ目の理由は、金融の投資から得られる収益は、実体経済における成長が源泉となっているからです。

 

二つ目の理由は、その数値を目指すことで、個人が世界の人々と同じペースで豊かになっていくことができるからです

 

実体経済の成長性からかけ離れた無理のある数値目標や、世界の平均的な豊かさの増加に遅れを取るような目標は、適切ではないと考えます。

賃金が上昇しないまま、物価が上昇を続けてしまうと…

「世界のなかでの自分の豊かさを維持する」、いい換えれば「世界のなかでの自分の購買力を維持する」というのは、とても大切な視点だと思います。

 

私たちの生活は世界経済と密接に繋がっており、世界の人々の生活水準の上昇は他国の人々の賃金の上昇に通じ、日本で消費するモノやサービスの価格上昇へ繋がります。仮に、日本の賃金が上昇せずに、モノやサービスの価格が上昇を続ければ、一人一人の購買力は、世界のなかで低下していくことになるのです。

 

それでは、実際の数値を見て、イメージを膨らませていきましょう。

日本人は、世界平均の約3.5倍生活水準が高い

まず、日本の一人当たりGDPは約430万円、世界全体77億人の平均は約130万円となります。つまり、日本人は世界の人々よりも、約3.5倍の生活水準であると考えられます。

 

次に、この数値の過去の変化率を見てみましょう。

 

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※本記事は、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社のインベスコ グローバル資産形成研究所レポート「100年時代のお金について考える」Vol.13として公開されたものです。

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