人生100年時代、老後の資産形成は、いまや日本人の重要課題といえますが、資産形成の一手法である「投資」に悪印象を抱いている人は少なくありません。インベスコ・アセット・マネジメント株式会社のグローバル資産形成研究所によると、「かつては日本で美徳とされた貯蓄という行動は、過去のように日本社会を豊かにする役割を果たせなくなった」と述べています。よって、日本人は資産形成の一手段である「投資」について理解を深める必要があるのです。今回は、投資に関する新しいマインド・セット(思考様式)について解説していきます。

長期投資を行ううえで重要な「マインド・セット」

私たちが、長期で腰を据えて資産形成をしていくために大切なマインド・セットは、大きく分けて以下の3つに整理されると考えています。

 

・自分の真の資産とその配分を把握するマインド・セット
・自国以外に向けて投資を行うマインド・セット
・金融商品と世のなかのつながりについてのマインド・セット

 

これらは、多くの日本人の方が、投資や資産形成を前向きに捉え、末長く付き合っていくために大切なものになることでしょう。

自らの「人的資産」を含めた資産を把握する必要がある

まず、私たちが資産形成を考えるにあたって、自分の真の資産について把握しなければなりません。その際、預金、株式、投資信託などの口座上で確認できる金融資産のみに注目してしまうのは、適切ではないのです。なぜなら、先進国に生まれた多くの人は、「人的資産」という目に見えない、とても大きな資産を保有しているからです。

 

そして、この人的資産の大きさと特徴は、健康、働く意思、経験、教育、そして自身がどの労働市場に属しているか、受け取れる年金の種類、などによって変わってきます。資産運用の大事な最初のステップは、自身の人的資産を把握し、人的資産と金融資産を合算した上で資産形成を考えることです。

 

具体的には、「自分の人的資産の大きさを理解し、さらに、その中身が国内資産なのか海外資産なのかを考える」ことが大切になります。

 

人的資産とは、現役世代では主として将来に受け取る給料の見込み額、退職世代では将来の年金の見込み額に関連し、その額は数千万円〜数億円にもなります。また、日本で生まれ、教育を受け、日本国から年金を受け取る多くの方の人的資産は「国内資産である」という気付きは、大変に重要になるのです。

 

投資を考えるに当たり、すぐ株や債券、投資信託などを選び始めるのではなく、まず自らの真の資産について、正しく認識することが大切だといえます。

 

「真の資産」を正しく認識する必要がある(画像はイメージです/PIXTA)
「真の資産」を正しく認識する必要がある(画像はイメージです/PIXTA)

「海外への金融投資」を当たり前の状態にする

日本は、治安、おもてなし、健康・長寿、文化、インフラなどの点で、世界と比較して大変素晴らしい国だと思います。ただし、アメリカなど一部の例外を除き、多くの国に住む方々の資産運用の基本的な方向性は、「生活の基盤と、金融資産の投資先を分ける」ことです。動かしにくい人的資産と、身軽な金融資産の投資先を別にしていくことで、資産全体のバランスを整えていくことが可能です。

 

「一生、日本に住み続けるので外貨預金や海外への投資は必要ない」という考えをお持ちの方は、かつてのヨーロッパ貴族の知恵に触れてみることが有用でしょう。自分を外国人の立場に置き換えてみると、「たまごを一つのカゴに入れるな」という格言の真意に気づく、よいきっかけになるかもしれません。

 

実際、世界経済は密接につながっており、どの国に住んでいようとも、日々の生活には外国から輸入された製品・サービスがあふれています。また、「世のなかは基本的に不安定である」と考え、自分の資産を世界に広く分散させることで、万が一、日本が天災などに襲われた時の備えにもなるでしょう。

日本人が海外投資をすると、結果的に日本が豊かになる

令和の日本経済が、昭和に見られたような高成長を望みにくいという現実も、大局感として認識しておくべきでしょう。昭和の時代は、日本人が意図していなかったとしても、人的資産と金融資産を日本へ「超」集中投資をしており、結果的には正解だったといえます。

 

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※本記事は、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社のインベスコ グローバル資産形成研究所レポート「100年時代のお金について考える」として公開されたものです。

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